Case:TBWA HAKUHODO/PR TIMES/FUKKO DESIGN「観光復興ガイド」

株式会社TBWA HAKUHODO、株式会社PR TIMES、一般社団法人FUKKO DESIGNによる「新しい時代に対応する観光復興ガイド‐SNSから見える企画のタネ‐」(以下「観光復興ガイド」)。

これは、コロナ禍で深刻な打撃を受けている観光業界に向けて、SNS上の旅行に対する価値観の激しい変化を分析し、そこから見えた20の新たな兆しとその後の打開策をまとめたもの。

この先、観光業者が旅行者に対して中長期的に何を提供していくべきかなど、観光業を盛り上げるためのヒントを示しています。

また、閲覧はもちろん、出典表記をしていただければレポート内容を自由に利活用可能なものとなっています。

今回は、この施策を担当したTBWA\HAKUHODO Disruption Lab PR Director 木村充慶さん、TBWA\HAKUHODO 65db Brand Strategist 石田陽公さん、TBWA\HAKUHODO 65db Insight Strategist 橘田幸之佑さん、TBWA\HAKUHODO 65db Insight Strategist 土谷秀一郎さん、TBWA\HAKUHODO Disruption Consulting Disruption Strategist 田貝雅和さんに、企画立ち上げから現在の活用法に至るまでを振り返ってもらいました。

ソーシャルリスニングを踏まえ「20の兆し」を提示

―まずは企画が生まれた当初のことを振り返っていただけますか?

木村:
今まで様々な災害における観光業の復興支援を行ってきたこともあり、今回も観光に携わる方々から、「今後観光業の復活のためにはどのようにしていけば良いのか」と相談を受けました。

先が見えないため正直私たちもわからない部分が多いですが、これからの観光についてわかりやすい指針がないのだなと感じました。政策提言や未来の兆しについてのまとめは多く出ていましたが、本当に困っている観光従事者のためのものはあまり見受けられず「それならば私たちが作ろう」と思い、社内の有志で立ち上がりました。

―TBWA HAKUHODO社内ではどのようなチーム体制でスタートしましたか?

木村:
最初は社内のソーシャルボイスの分析を行っているメンバー、事業のコンサルティングを行っているメンバー、そして、広告の企画を考えるデザイナーなどを集めてスタートしました。日本全国の多くの人が困っていたので、すぐにでも何かをしなければいけないと感じ、まずは想いを共にしたメンバーを中心に短い期間で一気に作り上げました。

また、僕らだけでは限界があると感じて、社外や行政の方々など色々な方に相談しました。PR TIMESの山口(拓己)社長をはじめ、都道府県や市区町村の観光系の職員など、多くの方々と一緒にプロジェクトを進めました。

―ソーシャルリスニング(Twitter分析)の方法について、解説をお願いします。

石田:
ソーシャルリスニングは、TwitterなどのSNSで広がるユーザーの投稿を多角的に分析することです。

投稿内にある言葉や感情は、通常の調査では抽出しづらい「生声」だと思っています。新型コロナウイルスによって激しく価値観が変化する中で、この生声はとても重要な情報です。またこれらの投稿は、定性面と定量面を兼ね備えたデータです。事実を投稿量でしっかりと現状を正しく把握しつつ、投稿内容を読み解くことで、これからのニーズなどが抽出できます。

この「今」と「少し先の未来」がわかることで、適切な戦略立案や示唆を提示することが可能になります。今回は旅行業界がテーマだったので、生活者が旅行に対してどう思っているのか?そして今後旅行に対してどんなことを望んでいるのかを調査しました。

橘田:
具体的な手法としては、新型コロナウイルスが発生し始めた1月から6月までの期間で、「旅行」「旅」「観光」を含むTwitter投稿から話題量の推移を抽出。特に話題になった投稿に着目することで、世の中の大きな兆候を定量的に捉えていきました。

―それらの声を踏まえて、20の兆しを提示しています。

土谷:
新型コロナウイルスが日本の生活者の行動に大きく影響を与えはじめた2020年春を参照期間と設定し、 この時期の”旅行”に関するTwitter投稿を抜き出すと874万件が取得できました(RTを除いたユニーク件数)。

これは、昨年同時期と比較すると-13.4%と大きく減少しています。そこで、総量がここまで大きく影響を受けているからには質にも大きな変化があるに違いないと仮説を立て、昨年と比べ伸びている話題やこの状況下で新しく生まれている生活者の行動を大量にリストアップし、チームで議論しながら重要な20個に絞っていきました。

以下、今回用いた兆しの抽出方法を3つご紹介します!

①昨対比で増加している話題
一つ目は昨対比で増加している話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。旅行に関する投稿をさらに10-20のサブカテゴリに分解したうえでそれぞれの投稿数を算出。昨年同時期と比べて増加している話題は何か?を特定し、伸びているカテゴリの投稿内容を徹底的に深掘っていきました。
ポイントは様々な方向でカテゴリを作成してみて一度定量化すること。投稿の絶対量や成長率をボリューム出しし可視化することで実は存在しないカテゴリだった(RTが伸びた1投稿が目立っていただけで総数は少ないケース)などの思い込みを防げます。
今回のレポートでは「再訪」などがこのアプローチから出てきています。「旅行 また行きたい」など再訪系のワードで大きな伸長が見られていました。

②「新しい日常」に特有の話題
二つ目は新型コロナウイルス特有の話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。
今回のレポートに通底するテーマ”コロナ”に特有のユーザー行動はどこよりも深く分析する必要があるとチームで議論し、網羅的な分析を行いました。深掘りのためのポイントはキーワードの細分化です。「旅行 コロナ」でブレイクダウンしても粒度の粗い投稿しか出てきません。「旅行 キャンセル」「旅行 密」「旅行 リモート」など”コロナ”の関連キーワードを一つ一つ個別に掛け合わせて見ていくことで、新しい日常に特有の兆しが大量に取り出せます(ワードクラウドを活用するのが便利)。
今回のレポートでは「補助制度」「検討リスト」などがこのアプローチから出てきました。旅行には前向きなものの、Go To トラベルキャンペーンはじめ国/自治体の補助制度に対して適用条件がわからないという声が多く見られています。

③施策に直結する話題
三つ目は施策に繋がりやすい話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。
今回レポートの目的は事業者の方々に行動してもらうことに尽きます。そのためお勉強的な内容ではなく、アクションが即座に思い浮かぶ兆しを重視する必要があると指針を立てました。ポイントはあえてキーワードを絞りモチベーションを捉えること。「旅行 行きたい」「旅行 また」などモチベーション系のキーワードに絞って実際に旅行に行きたがっているユーザーの声を探っていくと飛躍的に効率が高まります。
今回のレポートでは「趣味旅」「おひとり様」などがこのアプローチから出てきました。日々のソーシャルリスニングの手法としても非常におすすめです。

行動を起こす一助に

―「旅行者向けの企画の考え方」も提示しています。

田貝:
多くの観光事業者の方が窮地に立っている中で「いかに多くの事業者が復興を果たせるか」を念頭に置いて自分たちにできることを考えました。

ここまででご紹介した兆しに対して取るべきアクションは、それぞれの事業者の方の状況により異なります。普段であれば私たちが“代理店”としてその企画をご提案するのですが、今回それをするには人も時間も足りない。そこで、できる限り多くの方に最適なアクションを取っていただくために「自分で企画を考え行動を起こす」ための支援をしようとなりました。そのために考えたのが、普段私たちが企画を考える際に経ている考え方のプロセスを、その本質を残しながらできるだけわかりやすく伝えるということです。

議論をチームで積み重ねながら生まれたのが「兆し×資産=企画」という公式でした。自社にとって重要な兆しを「20の兆し」から選び、それに対応するために活用できる自社の資産を選び、それらを組み合わせた兆しに対応するための企画を考える、という形です。また、私たちが普段チームで企画を考えるように、企画をいろんな方と一緒に考えて欲しいという思いも込めて、ガイドの活用方法もご紹介しています。さらに、今回最も重要視したのが「実際に行動を起こすこと」でしたので、それを不完全でもいいので形にしてみて、世の中に発信して欲しいことをお伝えました。

―このガイドを実際に活用した事例も出てきています。

田貝:
これまで『旅先での食の楽しみ』をテーマにした個人向けオーダーメイド旅行を提供していたTable a Cloth(テーブル・ア・クロス)様は、その食に関する知識や地域とのつながりを資産として活用し、「趣味旅」という兆しに対してお客さんの趣味に合わせたテーマ別の旅行プランを開発していました。同社の岡田さんはプレスリリース後、問い合わせや申し込み増加といった反応が得られたと仰ってました。

また、東京都ではGo To トラベルキャンペーンの対象外となったことでも困っている事業者の方が数多くいらっしゃいますが、そんな中で日の丸自動車興業様は加速する「マイクロツーリズム」の兆しに対して自社で保有するオープンエアなバスを資産として活用し、昭和30年代の東京を観光するという企画を開発していました。

両社ともこのガイドが企画を新たに考える際の参考になったり、これまでいろいろと考えていたことを整理する手助けになったと仰っていて、ガイドがお役に立てていると感じることができました。

―このガイドを活用することによる、今後期待していることを教えてください。

田貝:
観光業界では夏休みシーズンが終わり、秋の行楽シーズンに向けた準備を始めている方も多いと思います。しかし、私たちがお伝えするまでもなく昨年までの観光とは全く異なる企画や集客そして接客をしていかなければいけないと感じている方がほとんどだと思います。

今回ガイドでご紹介した「20の兆し」は一過性のものではなく、今秋のウィズコロナ観光を考える上でも捉えるべきものだと考えています。そして、その兆しに対してみなさんがどうアクションすべきかを考える企画の公式は、普遍的に活用可能なものです。

一番大事なのはこの窮地に際して観光事業者の方それぞれが行動を起こすことだと考えていますが、その行動を起こす一助として「観光復興ガイド」を参考にしていただけるのではないかと思っています。

ここまで記事をお読みいただいた方の中にはきっと「観光業界をなんとかしたい」と思っている方もいらっしゃるだろうと思いますので、ぜひこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。まだまだコロナショックの影響が続く中ですが、この窮地を乗り越えてみなさんと新しい観光をつくっていきたいと考えています。

ガイド活用法についてのイベントも実施

PR TIMESでは、同社が運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」にて、この「観光復興ガイド」をもとに企画されたプレスリリースを100団体限定で無償利用できる特別プラン(申し込みはコチラ)を実施中。

また、ガイドの活用法を紹介するイベント・第2弾(第1弾はガイドを公開直後の7月に実施)の開催も予定しています。

『観光復興ガイド』実践編〜復興実践者と考える変革アクション〜
日程:9月29日(火)17:00 – 18:00(60分)※開場 16:50
会場:オンライン開催(Zoomウェビナー形式)
ゲスト:
日の丸自動車興業株式会社 難波優介様
株式会社Table a Cloth 岡田奈穂子様

タイムテーブル:
16:50 入場開始
17:00- オープニング
17:05 – 17:20 ガイドについてご紹介
17:20 – 17:55 パネルディスカッション『復興アクションの実践』
17:55 クロージング
申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_CUA__HXoTlG4lecYBQlrQQ

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