Case: A Hard Pill to Swallow

スウェーデンのドラッグストア・APOTEKが行った、衝撃的なキャンペーンをご紹介。

医薬品工場が薬品成分を含む排水を周囲に垂れ流し、周囲の環境に影響を及ぼしている事実を伝えるため、「製薬工場の排水から薬品成分を『復元』した錠剤」を製造。倫理的な医薬品製造のありかたを社会に問うたのです。

私たちの生命や生活を健康的な状態に保つ医薬品たちは、さまざまな原料をもとに工場で“衛生的”に生産されています。

しかしながら、その医薬品そのものが「化学製品」であることを意識する機会はあまりありません。

プロジェクトチームは、インドの産業都市・ハイデラバードのとある製薬工場を訪れました。

その場に広がっていたのは、思わず目を疑うような光景でした。

工場から、薬品成分を含んだままの排水が川に垂れ流されていたのです。

しかもその水は、川沿いに暮らす多くの人々の生活用水として使用されていました。

排水から成分を取り出した「医薬品」

プロジェクトチームは、この排水を採取。

スウェーデンに持ち帰り、驚きの行動に出ます。

薬品工場の排水から抽出した成分のみを使い、「医薬品」を作ってしまったのです。



できあがった錠剤は、店頭に並んでいてもまったく違和感のない仕上がり。

カプセルひとつに鎮痛剤・HIV治療薬・抗がん剤の成分がギュッと詰め込まれています。これらはすべて、薬品工場の排水に含まれていたものです。



まったく異なる用途の薬品成分をいっきに摂取したら・・・身体にどんな影響が出るかは想像に難くありません。しかし実際に、薬品工場のそばに暮らす人々はこのおぞましい錠剤を毎日飲んでいるに等しい状況なのです。

分析レポートつきで「店頭」に

製造された錠剤は、APOTEKのサイト上で「商品」として掲載されました。

購入ボタンのかわりに資料のダウンロードボタンが設けられ、原料となった工場排水の詳細な分析レポートを誰でも閲覧できるようになっています。


この衝撃的な試みはSNSで話題となり、議会でも取り上げられました。

多くの人々の健康を守るための医薬品。しかしその製造工程で、付近の人々の健康を脅かしていたら──。 価格や効能だけでなく、きちんと安全で倫理的に製造されているものか、という視点をもつことの大事さに気付かされる施策でした。

(via Activation Ideas)