Case: GARECAVUELVE

ペルー代表サッカーチームの公式スポンサーを務める同国の携帯電話キャリア・Movistarが仕掛けた、仰天バイラル施策をご紹介。

2018年、ロシアW杯を最後に同国チームの監督を退任することを表明したRicardo Gareca氏に思いとどまってもらおうと、彼の目に留まりそうな新聞のあらゆる場所でカムバックを呼びかける「クラシファイド(三行)広告」を大量に掲載したのです。

同国代表チームを何度も勝利に導いてきたGareca氏に、ペルー国内から熱烈な信頼が寄せられていました。しかし2018年、ロシアW杯直後にGareca氏は「少し考える時間がほしい」と、同国チーム監督からの降板を発表したのです。

ペルー国内の99%に及ぶ人々が監督の復帰を希望。この事態を重く受け止め、同チームの公式スポンサーを務めるMovistar社は行動に踏み切りました。監督が生活の拠点とするアルゼンチンの大手新聞を「ハック」することにしたのです。

ペルー最大手の携帯電話キャリアともなれば、新聞に大型広告を打つことも簡単。しかしどんなに大きな広告であっても、1ヶ所にしか露出しなければ、監督の目には留まらない可能性が高い── そう考えた同社は、意表を突く方法を選択します。

大型広告よりもはるかに安価な料金の「クラシファイド(三行)広告」を100個出稿し、監督に向けた大量のラブコールで紙面を埋め尽くしたのです。

この前代未聞の試みにアルゼンチン国内のメディアも食いつき、同国内のテレビ番組で大きく取り上げられました。


これと並行し、SNS上でこの試みをハッシュタグつきで拡散するよう呼びかけるキャンペーンを実施。紙面を撮影した投稿がまたたく間に拡散されました。


そしてこのムーブメントを国内外のメディアがさらに取り上げ、メディア露出の渦が巻き起こったのです。

熱烈なメッセージはGareca氏の気づくところとなり、記者会見の席上で思わず感嘆。

ほどなくして同氏は降板を撤回し、監督契約を2022年まで延長することを発表しました。

大型広告のわずか20分の1の予算で行われたこのキャンペーンは、総額5,100万ドルもの広告効果を創出。5.4億にものぼるメディアインプレッションを獲得することに成功しました。

なによりこのキャンペーンの秀逸なポイントは、一企業のコマーシャルメッセージに留めず「大量の三行=個人広告」に置き換えることでペルーの人々の声をMovistar社が見事に“代弁”して届けたこと。

ゴール前に選手が詰めかけてひとりのゴールキーパーを守るPK戦のごとく、多くの人々に向けた熱意をもって、多くの人々が求めるたったひとりの人間の心を氷解させるという、まさに広告の限界に挑戦したキャンペーンでした。