Case:三井不動産株式会社「日本橋シティドレッシング for TOKYO 2020」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は「日本橋シティドレッシング for TOKYO 2020」を取り上げます。三井不動産株式会社が旗振り役となり、東京 2020 オリンピック競技大会から1年前となる今年7月23日(火)から8月25日(日)まで行われた企画。

東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京 2020 大会)エンブレムや東京 2020 大会ルック(オリンピックとパラリンピックの精神と東京 2020 大会ビジョンを視覚的に伝えるグラフィック)、アスリートの肖像を用い、三井本館やコレド室町テラスなどのビル壁面の装飾やデジタルサイネージなどで街全体を装飾し機運盛り上げを行いました。

実現の舞台裏について、株式会社電通・電通ライブ コミュニケーションプランナー 加我俊介さん、株式会社電通2CRP局 アートディレクター 井本善之さん、株式会社電通7BP局 アカウントエグゼクティブ 河津賢次郎さんにうかがいました。

「東京2020大会で盛り上がるスタジアム」を表現するためのこだわり

―企画実施の経緯を教えてください。

加我:東京2020ゴールドパートナーを務める三井不動産が、東京の中心地とも言える日本橋(=街)を起点にオリンピック・パラリンピックの機運醸成/更には東京2020大会の成功に貢献すべく2015年からスタートした試みで、今回で4回目を迎えます。そして、今回はオリンピック1年前という大事な節目であることから、これまで以上に規模を拡大し盛り上げていくべくプランニングを進めました。

―制作にあたり、こだわった点を教えてください。

加我:「日本橋シティドレッシング for TOKYO 2020」は自社の企業プロモーションではなく、オリンピック・パラリンピックの機運醸成を目的にしたパブリックイベントです。その為、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等にも共催や後援いただきながら、その他スポンサー各社にも広く参加を呼び掛け、東京2020の大会エンブレムや大会ルック、様々なアスリートの肖像を用いて街全体の大規模装飾を実現しています。

ただ、その特性上、アスリート肖像は新規撮影が難しくストックフォトで対応しなければいけないなど制約も多く、これまでの表現との「差分」を出しづらいという難しさがありました。その為、このような制約下でいかにしてこれまでの表現と「差分」をつくりだしながら、1年前に相応しい盛り上がりを醸成するかが最大のポイントでした。

井本:ビジュアル面で特に気をつけたのは「熱気」です。火の色は赤と青で構成されますが、今回アスリートの写真を敢えてその赤と青で加工することで、静態表現の中に熱を込め、2020大会の盛り上がりを表現しました。その周囲にはアスリートに声援を送る観客のビジュアルを配置し、アスリート同様、熱や勢いを感じるデザインにしています。まさに、日本橋の街全体を使って、「東京2020大会で盛り上がるスタジアム」をいち早く再現する試みです。

加我:オリンピック・パラリンピックの盛り上がりはアスリートだけではなく、声援を送る観客とともに生まれるものです。そこで、今回はスポンサー企業の社員の皆様にご協力いただき、アスリートに声援を送っているシーンを再現、その様子を撮影しました。リアルな熱気やライブ感を取り込みながら、躍動するアスリートと彼らに声援を送る観客という図式を街全体にそのまま投影することで、日本橋に「東京2020大会で盛り上がるスタジアム」を再現しています。

この企画は4回目ということもあり、参加企業の皆様にはこの仕組/システムをご理解いただけていたと思います。その為、今回は新たに「社員の有志参加」というお願いをさせていただきました。各社様にとってオリンピック協賛は社内活性化の側面もあり、こちらも大変協力的、積極的にご参加いただけました。

―現地での反応はいかがでしたか?

加我:日本橋シティドレッシングの一環として、日本橋のたもとにオリンピックのシンボルマーク「ファイブリングス」の巨大オブジェ(スペクタキュラー)が国内で初めて設置されたこともあいまって、日本橋自体が「いよいよオリンピックまであと1年」ということを伝えるフォトスポットとして注目度を向上させることができました。

日本橋はオリンピックと縁深い場所

―連動して展開した機運盛り上げ施策について教えてください。

河津:この企画に合わせて、昨年開催時に19日間で25万人以上を動員し大変ご好評をいただいた、東京2020オリンピック・パラリンピックの競技・種目や選手について楽しく遊んで学べる体験型展示イベント「超ふつうじゃない2020展 by 三井不動産」を、COREDO室町テラスや、東京ミッドタウン日比谷で開催しました。「日本橋シティドレッシング」でムードを高め、「超ふつうじゃない展」で実際に身体を動かしいち早く楽しんでもらう。場を持つ三井不動産ならではの展開として、リアルな体験・フィジカルな体験まで伴うことでオリンピック・パラリンピックの機運醸成に貢献できたと考えています。

―来年の大会期間中は、日本橋エリアをどのような形で盛り上げたいですか?

加我:日本橋は、東京2020の各会場からも近く、日本中が祝祭ムードに包まれた前回大会(リオデジャネイロオリンピック)のメダリスト凱旋パレードの舞台でもある、オリンピックと縁深い場所です。開催期間中、国内外から多くの方が東京を訪れると思いますが、ここ日本橋がオリンピックの盛り上がりの中心地の一つとなるような仕掛けを作れたらいいなと思っています。