Case: INTERNET’S RESIDENCY EXAM

ルーマニアの民間医療ネットワーク・REGINA MARIAがインターネット上で展開した啓蒙キャンペーンをご紹介。

インターネットの検索サイトが「医者がわり」に使われ、不確かな情報をもとに「自己診断」を行う人々が多い状況をふまえ、「ネット検索だけを使って医師の採用試験に合格できるか?」という実験を行ったのです。

ルーマニアでは4人に3人が、インターネットの検索結果を鵜呑みにした「勝手な自己診察」で病気の症状を悪化させています。それだけでなく、誤った薬を服用で重篤な状態に陥るケースまで出てきています。

果たして検索サイトは本当に「医者がわり」になるのか── キャンペーンチームは動画メディア・VICEとタイアップ。実際にResidency Exam(医師免許保持者を対象に行われる研修医採用試験)で出題された問題に対し、ネット検索だけを使って回答する実験を行いました。


「『◯◯(病名)の典型的な症状は』と…」

「検索結果、172,000件…」

検索結果に出てくる情報は、どれも不安を煽るものばかり。

「どれを読んでも『自分はガンだ』としか思えなくなってくるよ」

実験の結果、正解できたのは200問中たったの36問。これほどまでに、インターネット上には誤った医療情報が溢れていたのです。

この模様を動画で公開したところ、コメント欄には「検索サイトに頼るのは危険過ぎる」という声が殺到。大きな話題となりました。

チームはこの結果を元に、実際の試験問題にインターネット上で挑戦できるサイトを開設。

不正解を出した人には「これでもあなたはインターネットを“医者がわり”に使いますか?」とメッセージを出し、正規の医師による診察を促すようにしました。

誤回答の度合いは「誤診断証明書」として出力されるようになっており、これを病院の窓口で提示すると、医師から的確な診断を受けられる仕組みになっています。

さらに、これから誤った「自己診断」をしようとする人を水際で食い止めるため、検索サイトのキーワード広告を展開。よく検索される病気の症状を入力すると、正規の医師による診察を受けるようメッセージが表示されるようにしました。

このキャンペーンの結果、病院への来訪者数は43%以上増加。ネット検索で自己診察を試みた人のうち11%を正規の医師による診断へ誘導することができました。

シンプルな操作で大量の情報を得られる検索サイトは、たしかに便利な存在です。しかし依存しすぎると、誤った情報によって自らの命を記念に晒しかねません。「ネットに真実がある」という思い込みを打ち砕き、医師の正確な診察によって一人でも多くの命を救いたい── 医療従事者たちの真摯な思いを“仕組み化”して見せた、秀逸な啓蒙キャンペーンでした。

(via activationideas)