Case:トンボ鉛筆「モノカラー誕生50周年記念」企画

Interview & Text : まきだ まどか

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、トンボ鉛筆の「モノカラー誕生50周年記念」企画を取り上げます。モノ消しゴムでお馴染みの青白黒の「モノカラー」が誕生してちょうど50周年の2019年、トンボ鉛筆は、発売から今日に至るまでのモノ消しゴムの歩みを復刻した「モノカラー誕生50周年記念セット」の発売、MONOシリーズ製品購入でモノグッズが当たる文具店での店頭クジ、「これであなたもMONO知りキャンペーン」と題したオープンキャンペーン、これら各種企画をより多くのユーザーに知ってもらうための「MONOロンドンバス」のPR走行&乗車イベントを実施しました。

バスの車体全体にモノカラーを施した、巨大なモノ消しゴムのようなデザインの「MONOロンドンバス」は、6月19日~21日にかけて渋谷、原宿、表参道を走行。その様子を目撃した人々がTwitterなどのSNSに画像をアップし、大きな話題となりました。さらに、週末の22日・23日には無料乗車イベントを開催。幅広い層のユーザーが集まったといいます。

今回の企画が生まれた経緯やキャンペーンに込められた思い、ユーザーからの反応について、株式会社トンボ鉛筆 プロダクトプロモーション部 堀井奈津美さんにお話をうかがいました。

ノートやリュック、スニーカーまで「モノグッズ」が当たるキャンペーンを実施

―「モノカラー誕生50周年記念」企画を立ち上げた経緯、企画に込めた思いについて教えてください。

堀井:今年は「モノカラー」が誕生してちょうど50年です。この企画は、商品を卸している文具店さんにMONOブランドを定番として育成してもらった感謝と、エンドユーザーのみなさんにさらに「モノカラー」に親しみを持ってもらいたいという思いを込めた施策です。

―復刻版を含めた5個のモノ消しゴムとピンバッチがセットになった限定発売の「モノカラー誕生50周年記念セット」はすでに入手困難なほど売れているそうですね。

堀井: 6月下旬に出荷開始し、売れ行きは好調です。現時点(7月11日)で、計画のほぼ90%を売り上げました。歴代のモノ消しゴムのセットを販売したのは今回が初めてだったため、みなさまに手に取っていただけたのだと思います。年代ごとにMONOのロゴやトンボのロゴのデザインが変化しているのが分かる商品です。
商品企画の段階では、社内から「一般ユーザー向けの商品ではないのでは」という意見もあったのですが、結果的には、MONOブランドのファンの人はもちろん、一般ユーザーにもお買い上げいただいているようです。予約された方もいたと聞いています。

―今から50年前の1969年の発売以来、「モノカラー」は消しゴムの定番としてのイメージがとても強いです。発売当時から「モノカラー」へのこだわりが強かったのですか?

堀井:当時は、今ほどは「モノカラー」を今後もずっと守っていく意識ではなかったのではないかと思います。50年のうちに「モノカラー」といえば消しゴムのイメージがユーザーの間でも、社内でも強くなり、今では「モノカラー」を大切に守っていこうという意識が強まっています。2017年3月には、特許庁第一号の「色彩のみからなる商標」として「モノカラー」が登録されました。もともとは旗をイメージしてデザインされたそうです。

―いろいろなモノグッズが当たるキャンペーンも開催しているそうですね。

堀井:販売店でMONOシリーズの製品を買った方を対象に、スピードクジを引いてもらい、限定の景品が当たるクローズドキャンペーンを実施しています。景品は通常の40倍の大きさのモノ超ジャンボ消しゴムや、オリジナルノート、ブックマーカーです。MONOシリーズの製品は、消しゴムだけでなく、修正テープやシャープペンシルなど、現在40種以上あり、その中からの購入で、クジを引くことができます。

他にも、誰でも応募できるオープンキャンペーンとして、「これであなたもMONO知りキャンペーン」(https://www.tombow.com/cp/mono50th/)を実施しています。MONOシリーズの製品にまつわる5つの動画の中からひとつを選び、Twitterにシェアすることで、モノリュックや、モノスニーカー、モノTシャツが当たるキャンペーンです。

文具店を対象に、今年で4回目の実施となる「MONOシリーズ陳列コンテスト」も実施中です。店頭でMONOシリーズの商品を陳列してもらい、その写真をコンテストサイトにアップして応募してもらいます。最終的には、審査を経て、1位の文具店に50万円を贈呈予定です。

―今回の企画を実施したねらいについて教えてください。

堀井:「MONOといえば消しゴム」のイメージを利用して、他にもいろいろなMONOシリーズ製品があると知ってもらうことが今回の企画全体の一番の目的でした。「モノ修正テープ」はシェア1位ですし、「モノグラフ」のシャープペンシルも人気があります。しかし、個々のMONO製品に満足してくださっていても、それがつながった「MONO」のイメージになっているかというと、まだテコ入れしなくてはならない点があるんです。
企画の考案を始めた当初は「モノ消しゴム発売50周年」という切り口だったのですが、MONOブランドのシリーズで企画ができるよう、「モノカラー誕生50周年」にタイトルを変え方向転換しました。

MONOバス目撃ツイートが3万リツイート超え!

―「MONOロンドンバス」を企画した意図を教えてください。

堀井:「モノカラー誕生50周年記念」企画全体をPRするために実施したのが「MONOロンドンバス」でした。ロンドンバスを「モノカラー」でラッピングし、7月19日~21日の平日3日間は広告として車両を走らせ、その週の土日に乗車イベントを実施しました。原宿や渋谷、表参道などで走らせ、SNS上で拡散してもらい「モノカラー誕生50周年記念」企画全体を多くの人に知ってもらうのが狙いでした。

―SNS上で大きな話題になっていましたよね。

堀井:「MONOロンドンバス」を都内で走らせた初日、その写真を添えたとある女性のツイートが3万リツイートを超え、その日バズったツイートとして取り上げられました。一番早かった目撃ツイートだったため、爆発的に拡散されたようです。MONOバスが走り始めてから、「これであなたもMONO知りキャンペーン」の応募数もグッと増え、「MONOロンドンバス」だけではなく、web上ではキャンペーン全体のことについて書かれた記事も多数アップされ、キャンペーン応募にとても貢献してくれました。

―どんな反応が多かったですか?

堀井:「MONOロンドンバス」が走り始めた19日のSNSの投稿では、「遭遇!」「見つけた」など初めて見た内容のコメントが多かったのですが、イベントの後半になってくると、「話題の」「Twitterで見た」「噂の」など、認知が上がっていることが分かるコメントが増えました。

―ロンドンバスの施策内容はスムーズに決まったのですか?

堀井:最初は山手線の1両だけをモノカラーでラッピングしたかったのですが、車両全面のラッピングはできないことが分かり、諦めました。電車がだめなら、都営バスはどうかと考えたのですが、バスも全面ラッピングは不可とのこと。そうして思案しているところに、偶然、屋外広告の営業に来てくださり、その中にロンドンバスを発見して、ぴったりだと決定したんです。

―乗車イベントにいらっしゃったのはどんな方々でしたか?

堀井:幅広い方々がいらっしゃいました。親子連れ、カップル、30代~40代の方が多かった印象です。バスに乗るために、群馬から始発で駆けつけてくれた小学生もいました。先着順で12時に受け付け開始のところ、その小学生は3時間前くらいから並んでくれていました。「トンボが好き、MONOが好き」といってくれ、さらに後日送ってくれたメールでは、文具店の「買って当たるキャンペーン」で、3種類の景品すべて当たったと連絡をくれました。いつもHPをチェックしてくれているそうです。

―参加した方々の反応はいかがでしたか?

堀井:お客さまには2階に乗車してもらい、ラッピングで窓を塞いた1階部分の座席には大きな消しゴムの模型を座席にひとつずつ置いたところ、モノ消しゴムが乗車しているようでおもしろいと意外にみなさんに喜ばれました。記事を書いてくださったり、SNSで投稿してくれる人もいました。

―乗ってみないと見られない光景ですね。キャンペーン全体を通して、他にはどんな反応がありましたか?

堀井:「いつもおもしろい企画をいろいろ開催するよね」「このセンスを発揮する社員さんの努力を思うと、モノの消しゴムを使い続けてよかったと思います」と投稿してくれている人がいて、非常にうれしかったです。「消しゴムが道を通るから道がきれいになった」など、少しとんちの効いた投稿もありました。
社内からは、通常ラッピングバスは音を出して走っているイメージがありますが、モノバスは無音でスーッと通り過ぎるため、消しゴムっぽくていいというコメントがありました。

―50周年を迎え、モノブランドの今後の展開について教えてください。

堀井:ブランドとしては、MONO製品を消しゴム以外にも広く展開して、皆さんにより親しまれるブランドに育てていきたいと考えています。そのためにも、MONOシリーズの製品を知ってもらう活動は継続していかなければと思っています。


株式会社トンボ鉛筆 プロダクトプロモーション部 堀井奈津美さん