Case: The Unstoppable Résumé

早期発見や治療法の進歩により、がん患者の生存率は以前に比べて上がっています。治療の後、仕事に復帰できるまでに回復するケースも増えていますが、一度離職してしまった人が再就職するのは非常に難しいのが現状です。

フランスでは、大企業の95%そして中小企業の約半数が、求職者より送られてくる履歴書を自動的に振り分けるシステムを使用しているそうで、病気やその他の理由によりキャリアにブランクのある人を自動的にはじき出しているのだといいます。つまり面接の機会すらもらえないまま、不採用にされてしまうのです。

このような状況を受け、がん罹患者の就労支援を行う非営利団体・Cancer@Workは、病気を克服した人たちにも均等に就職の機会が与えられるようにと『The Unstoppable Résumé』と名付けたプラットフォームを開発しました。

これはビジネス特化型SNSのLinkedInと連携させて使うサービスで、療養期間を“仕事をしていない空白の時間”とするのではなく、“病気と闘ったことによって得たスキル”を書くよう仕様を変更した履歴書を作るというもの。

まず特設サイトでアカウントを作ってLinkedInと連携させ、『忍耐力』『チームワーク』など用意されたキーワードの中から自分にマッチするものを選択。すると、職務経歴書の欄にそれをPRする以下のような文章が自動的に作成されます。

『私は人生を懸けて病気と向き合いながら、家族と強固なチームスピリットを築き、検査の結果を待っている時には、忍耐強さとストレスマネジメントのスキルを磨きました。困難な状況の中でモチベーションを高く保ち、常にユーモアを忘れずに立ち向かいました。強い決意があったからこそ、今の私がいるのです。』

こうすることによって、空欄を理由に選考のプロセスから外されてしまうことを防ぐわけですが、ユニークなのはこの文章が白い文字で書かれており、背景と同化して見えない状態になっている点。採用担当者が画面上の文字を選択し、色を反転させないと読めない仕掛けになっているのです。

病を乗り越えた人は、治療後に仕事を通じてまた社会とつながることで、大きな力を得るといいます。既往歴によって就労の権利を失うことなく、社会復帰への道を開く取り組みのご紹介でした。