Case: LoveBetter

カップル間のドメスティック・バイオレンスをなくし、健全な関係づくりを促進するアメリカのNPOがバレンタインシーズンに打ち出した啓蒙企画をご紹介。

「嫉妬」「対等」「誠実」「サボタージュ」といった、さまざまな“カップル間の関係を表現した味の菓子セット”を製造し、販売したのです。

同NPOのYouTubeチャンネルでは、カップルにこの菓子を試食してもらう動画が公開されています。

まず口にしたのは、『嫉妬』という名前のチョコレート。光沢のあるコーティングの下には、ビターのきいたオレンジ・マーマレードが入っています。

「うっ…苦い…」思わず顔をしかめる男性。決して美味、というわけではないようです。

『このチョコレートはストーキング、執拗なメール、そして相手に対する被害妄想の感情を味で表現しています』

最初のひと口だけ、甘かったんだ。」と語るカップルの男性。「まるで自分に酔っているような気分で。でもそれもすぐに…」

「オエーって気分になったわ」と、カップルの女性。

こちらは『対等』という名前のチョコレート。ショコラオレをベースに、ヒマワリバターと削りイチゴが半分ずつ添えられています。

「うん… じつにちょうどいい。本当に心地よい気分が広がるよ」

続いては、『誠実』と名付けられた、透明なピンク・レモネード味のゼリー。

こんどはひと口目から、思わず笑みがこぼれます。

「ああ!とっても嬉しくて、穏やかな気分! なんにも心配しなくていい、ただここにいるだけで安心できる!

最後に口にしたのは、『サボタージュ』という名のチョコレート。甘みのない純粋なカカオに唐辛子を練り込んでいます。

「うわっ! 辛い!? 喉が焼けるようだわ!」思わず苦痛に顔を歪ませる女性。

『…相手の気持ちを考えず、何でも自分の思い通りになると思ったら大間違いです。』

「…まず相手に微笑んでもらうこと、それが大きな一歩なのね。」 お互いを傷つけあっていたカップルの女性の、何かを悟ったような独白で動画は締めくくられます。

言葉では伝わらない思いをお菓子に託して渡すバレンタインという文化。その構図を活かし、言葉を尽くしても理解され難い感情を受け取る人間の気持ちを「味」という、感情にきわめて近い感覚で体験してもらう── 一見平凡なやりとりの中に大きな気づきを与える、含蓄に富んだキャンペーンでした。