Case: The Voice of Voices

運動ニューロン(運動神経細胞)が侵され、全身の筋肉が委縮・低下していく病気『運動ニューロン病』。その中でも代表的な『ALS(筋萎縮性側索硬化症)』は、手足をはじめ、喉や呼吸器などの筋肉が衰えていくため、症状が進行すると歩行や声を出すことができなくなり、呼吸さえも困難になっていく病です。

ALSの啓発と研究支援を呼びかけ、数年前に世界中で大流行したアイス・バケツ・チャレンジは記憶に新しいところですが、今回はイタリアで運動ニューロン病を専門に扱う医療機関・NEMOが実施したドネーションキャンペーンをご紹介します。

同国で毎年新たにALSを発症する人は1,000人以上になるといい、患者や家族のサポートには多額な資金が必要。そこで病気に対する理解を深めるのと同時に寄付を募る目的で、NEMOがリリースしたのが『NeMO-My Voice』という有料アプリです。

このアプリはユーザーの声を録音するために作られたもので、単語を読み上げて送信すると“声の寄付”ができる仕組みとなっています。

話すことができなくなったALS重症患者の多くは、目の動きでパソコンの文字入力を行うツールを使用していますが、その文章を音声ソフトで読み上げると、抑揚がないため冷たく機械的な印象に。そこで人々に寄付してもらった声で、患者の“気持ち”を読み上げられるようにしたのです。

お金(アプリの購入金額2ユーロはNEMOの活動資金となります)と声の両方を寄付することができる本プロジェクトは、ミュージシャンや人気テレビ司会者などの芸能人が参加したこともあり、トレンドトピックにランクイン。1億件ものインプレッションを獲得し、月間で最もダウンロードされたアプリとなりました。

ALSという病気の恐ろしい点は、思考や意識ははっきりしたまま筋力だけが徐々に衰え、最終的には意志表示さえもできなくなっていくということにあります。それゆえ周囲とのコミュニケーション手段の確保は非常に重要なのだそう。

金銭的な支援とともに、ALS患者のQOL(生活の質)を高めることを目的としたプロジェクト。今は病気に対する根本的な治療法はありませんが、病に苦しむ人を救う努力と研究が日々研究が続けれれています。近い、将来完治できるようになることを祈りたいと思います。