Case: Don’t die for me

南米ペルーでは家庭内暴力の発生件数が増加しており、過去6年間で実に680名の女性がパートナーの暴力により命を落としているといいます。そこで、今回は、女性の権利を保護するペルーのNGO・Vida Mujerが、“一冊の本”を通して、家庭内暴力に対する問題意識を高める共に、家庭内暴力に苦しむ女性たちにメッセージを送った取り組みをご紹介します。

一般的に家庭内暴力には周期性があると言われており、感情に任せて暴力を振るった男性は、ある程度女性を傷つけてしまうと態度を一変して深く反省し、女性に対して反省の弁を述べたり、優しく振る舞ったりしますが、時間が過ぎると、再び暴力を振るい、そしてまた誤るという態度を繰り返すと言われています。

どんなに傷つけられたとしても、深く反省をし優しくしてくれる男性と接することで、もう大丈夫なんではないかと許してしまう女性は多く、結果として度々家庭内暴力の被害を受けているにも関わらず、なかなか抜け出せない女性がおり、中には自らの命を落とすまで男性から離れることができない女性も少なくありません。

Vida Mujerは増加する家庭内暴力問題に対する関心を集め、一人でも多くの女性たちに家庭内暴力は繰り返されること、家庭内暴力を振るう男性と一刻も早く決別することを訴求するために、“一冊の本”、その名も「No te mueras por mi(Don´t die for me、僕のために死なないで)」を制作しました。

白い表紙をめくると、そこにはパートナーに暴力を振るってしまった男性たちが、事後、女性たちに送ったラブレターがつづられています。

どの手紙も、“深く反省している”、“もう決してしない”、“愛している”等、女性が許してしまえるような甘い内容となっています。

ラブレターを読み終えると、“それぞれのカップルの行く末をご紹介します”と書かれており、カップルの結末を読み進めるべく、本を黒い背表紙から読み進めるよう促されます。

黒い裏表紙をめくると、ラブレターを受け取り、男性を許してしまった女性たちが、ラブレターを受け取ってから間もなくして、再び男性から暴力を受けたことにより死亡したとの事実がつづられていました。

本の最後には、“もし暴力を受けているなら、この本のような結末にならないよう、今すぐご相談ください”と女性へのメッセージが記されているというものです。

この“一冊の本”は、政治家、レポーター、オピニオン・リーダーに送付された他、オンラインでも掲載され、瞬く間に各種メディアに拡散し、多くの人の注目を集めることに成功しました。

また、何より、“一冊の本”制作後、一カ月未満で、暴力に苦しむ2000人以上の女性に手を差し伸べることができたといい、使命を果たすことができたといえそうです。

暴力を振るった後男性が書いた甘い反省文とその結末を“一冊の本”にまとめることで、家庭内暴力は繰り返すこと、甘い言葉に騙されないで今すぐ助けを求めることを訴求した取り組みでした。

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