Case: 「頑固あげポテト」「ポテトチップス みかん味」などを話題にした湖池屋のPR活動

ネットユーザーの琴線に触れる商品・キャンペーン情報を発信することで、FacebookやTwitterなどで口コミ拡散を図る――。このような狙いを持って、広報・マーケティング活動に取り組む企業も増えてきているのではないでしょうか。

フレンテグループの総合スナックメーカー・株式会社湖池屋も、早くからSNS活用に取り組んできた企業の1つ。Facebookページを2011年には開設し、現在までに集めた「いいね!」数は11万件以上。2014年2月に新商品「頑固あげポテト」を発売した際には、SNSとも連動したWeb中心のキャンペーンを仕掛け、大きな話題をつくることに成功しました。

「頑固あげポテト」はその後、雑誌『オレンジページ』の読者が選ぶ「暮らしのヒット商品ランキング2014」でお菓子部門1位、雑誌『日経トレンディ』による「2014年上半期ヒット商品ランキング」では飲料食品部門の17位にランクイン。2014年12月までに事前予想を上回る2500万袋を出荷するヒット商品となっています。

湖池屋はどのようなやり方で情報発信することで、WebやSNSでの話題づくりに成功してきたのでしょうか。同社の広報・SNS運用の取り組みについて、マーケティング部広報課の山口直哉課長、小幡和哉氏、田島陽介氏に話を聞いてきました。

メルマガ、mixi、Facebook。新たなメディアを積極的に試し、ファンと交流深める

――湖池屋の広報チームとして、力を入れていることを教えてください。

株式会社湖池屋 マーケティング本部 マーケティング部広報課 山口直哉課長

[山口氏] 当社には、発売30周年を迎えた「カラムーチョ」や25周年となる「ポリンキー」など、ユニークで独創的なロングセラー商品がいくつもあります。

湖池屋らしいおいしくて楽しい商品が開発され、その後の広報活動においても「どうすれば、お客様に楽しんでもらえるか」と常に新しいことに挑戦し、「湖池屋らしい面白さ」を出せるように努めています。

ですから、SNSなどの新しいテクノロジーが普及してきたら、積極的に試してみるようにしています。これまでにもメールマガジン、mixiなど、新しいメディアが登場するたびに、そのメディアを活用した広報活動を展開。時代ごとに最適なお客様とのコミュニケーションの取り方を模索してきました。

Facebookについても、Facebookページを2011年に立ち上げ、現在の「いいね!」件数は11万以上になります。Twitterもフォロワー数1万人以上のアカウントを運営し、会員数14万人のメールマガジン、同4万人の携帯版メールマガジンも発行しています。

そうしたメディアを通じて湖池屋のファンの方々と交流を深めながら、新商品やキャンペーンに関する情報を発信し、ファンの方々に情報を拡散していただく。広報として今一番注力しているのは、そんなところになりますね。

Web中心のPRで、商品の魅力を十分に訴求することに成功した「頑固あげポテト」

――WebやSNSを活用した広報活動について、最近の成功事例を伺えないでしょうか。

同 小幡和哉氏

[小幡氏] Web中心のPRを初めて本格的に仕掛けたのは、2014年2月に発売した「頑固あげポテト」になります。

頑固あげポテトは、当社が50年以上前にポテトチップスを初めて発売したころの食感を再現したこだわりの商品です。「釜揚げ製法」という当時の製造方法をよみがえらせ、「50年以上にわたる湖池屋の歴史・伝統、受け継いできた技術力を伝えたい」という思いを込めて「頑固あげ」という名前を付けました。

そうしたこだわりを、商品認知のない状況からわずか30秒のテレビCMにまとめて伝えるのは非常に難しい。「われわれがこの商品にどのような思いを込めているのか」といったメッセージをお客様へ正確に伝えるには、はじめはWebを軸にPRを展開した方がいいだろうと考えました。

そこでまず、イメージキャラクターの頑固職人“釜田揚太郎”がお客様から寄せられた質問に対して「これぞ頑固!」という回答をしていく「頑固あげ相談室」という動画コンテンツを用意しました。「本物の頑固」について“釜田揚太郎”に語らせることで、われわれの思いを伝えようと試みたわけです。

そうして制作した動画を起点にして、ポテトチップスを一斗缶に詰めて出荷していた創業当時を思い出させる“伝説の一斗缶ポテチ(R)”をプレゼントするキャンペーンをWebで実施したところ、約27万人からの応募が集まりました。従来のハガキなどで応募のキャンペーンでは、応募者数は数万人程度にとどまることがほとんど。非常に高く評価できる成果を得ることができました。

そして今年2月からは、「頑固あげ相談室」の中でも特に支持の多かった動画をリメイク。CMとしてテレビ放映して、好評を博しています。テレビCMからWebへ誘導したり、テレビとWebで同時展開したりするプロモーションの事例は数多くあります。ですが、Webからテレビへという流れは、あまり前例がない取り組みだったのではないでしょうか。

「パッと見て印象に残る」絵を打ち出すことで、口コミ拡散を後押し

――コンテンツ面では、どのような見せ方をしたことが成功した要因になったと分析していますか?

同 田島陽介氏

[田島氏] Webには膨大な情報があふれ、ユーザーはすべての情報を処理しきれません。そうなると、少しでも印象に残るコンテンツを作らないと話題にはなりません。とにかく「パッと見て印象に残ること」を重視してキャンペーンを企画しました。

その意味で効果的だったのは、頑固職人が一斗缶を持った絵を前面に押し出したことでしたね。プレスリリースで「伝説の一斗缶ポテチ(R)」プレゼントキャンペーンを告知したところ、さまざまなメディアの記事で「“一斗缶”をプレゼント」というところが取り上げられていることが分かりました。

そうした結果を踏まえ、Facebookなどで情報発信する際にも、一番印象に残りやすいところ、一番分かりやすいところを打ち出すようにしてきました。そのような工夫が、口コミ拡散につながったのだと思います。

ニュース記事・口コミを単発で終わらせない。次々と仕掛けることで話題を持続

――「頑固あげポテト」でそれだけの成功を収めると、ますますWeb中心のPRに力を入れることになったのではないでしょうか。

[小幡氏] WebやSNS抜きでPRを語れなくなってきています。「頑固あげポテト」以降も当社ではWebやSNSを活用したPRを展開。少しずつノウハウを蓄えてきました。

例えば、プレスリリースを配信してWebメディアにニュースとして取り上げてもらっても、あるいは新商品を食べた感想を有名人にTwitterなどでつぶやいてもらえたとしても、そうした動きが単発で終わっていては効果が薄れてしまいます。プレスリリースを配信した結果、WebやSNSで口コミが起こったら、われわれが持っているSNSやメルマガを駆使して、その口コミの盛り上がりを持続させていくことが重要ではないかと考えております。

ですから、新商品やキャンペーンの情報を発信する前に、必ず打ち合わせを重ねています。プレスリリース後の反響が持続するように、あらかじめ戦略を練っておくようにしているわけです。

――そうした取り組みが奏功した事例は?

[小幡氏] 2014年12月22日に発売した「ポテトチップス みかん味」がありますね。

最初に同商品を発表したのは、発売3週間ほど前の12月3日のこと。「みかん味」という奇抜さが話題になり、プレスリリース配信直後にいきなり口コミが急増。最初のピークがやってきました。

けれど、そうしてできた口コミのピークは、1~2週間も経つとほとんどなくなってしまいます。そのままでは発売したころに、みかん味のポテチの話題が風化していますから、完全に忘れ去られないように、追加キャンペーンを企画することにしました。


企画を練るとき、初動時の口コミに目を通してみると「冬にみかん味のポテチが登場する。それなら、こたつは付いてこないのか?」といった声があったことから、「こたつをプレゼントしよう」と決定。急いで企画の細部を固めていきました。

その際、こだわったのがプレスリリースに添える写真ですね。口コミを拡散させるためには、インパクトある写真が必要。こたつを会議室にセットして、私が袢纏を着て、みかんとお茶をこたつに置いてポテチを食べる絵を撮影して配信しました。その結果、「みかん味のポテチが登場する」という話題を盛り上げたまま、発売日を迎えることができましたね。

そのように、WebやSNSを絡めたPRを展開していくことで、長期間にわたってお客様を楽しませながら、商品・キャンペーンに対する認知・理解を深めていけます。今後もこうした成功事例を、もっと増やしていきたいです。

『さまざまなキャンペーンを企画し、ロングセラー商品を継続的に盛り上げる』
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