Case: WeFree

世界最大の国際人権NGOであるアムネスティ・インターナショナルが、今なお世界中で多くの人を苦しめている“拷問及び供述書への強制署名”の実態を広く若者に知ってもらい、署名を募るために、ポーランドの音楽祭で、“無料Wi-Fi”を使ったアンビエント施策を実施し、大成功を収めました。

1984年に国連で拷問禁止に係る条約が制定されましたが、今なお残虐な拷問は行われています。拷問の末、拷問から解放されるはずの証書にサインしたつもりが、実はそれはやってもいない罪が記載された供述書であり、結果投獄され、無実の罪のために終身刑に処せられるか、最悪の場合は死刑になるという非道なケースもあるといいます。

アムネスティ・インターナショナルは、若者にこのような“拷問及び供述書への強制署名”の実態を知ってもらい、多くの署名による支援を募るために、ポーランド各地で開催されている音楽祭で署名活動を行っていましたが、近年はNGO団体の活動スペースが制限され、思うような署名活動を展開することができなかったといいます。

そんな中、多くのボランティアを投入することも特設ブースを設置することもなく、署名を集めるために用いたものが、若者にとって当たり前の存在になっている“無料Wi-Fi”です。

アムネスティ・インターナショナルは、音楽祭会場で使用できる無料Wi-Fi、その名も“WeFree”を作り、そのルーターを会場に持ち込みました。

会場に集まった若者は、慣れた手つきで無料Wi-Fi“WeFree”を見つけ、選択します。“WeFree”を使用するには、利用規約に同意しなければなりませんが、約90%のインターネットユーザーが実際に利用規約に目を通すことなく簡単に同意しているというデータがある通り、会場の若者たちの多くも利用規約を読むことなく“同意する”をチェックし、Wi-Fiに接続しようとしました。

すると、下記のような画面が表示されました。

「今、あなたは、携帯電話を3台盗んだという罪に同意しました。」と身に覚えのないことが書かれています。

そう、これこそまさに世界各国で多くの人が苦しめられている“拷問の末の強制署名”の実態なのです。これは実際のケースをモチーフとしており、ナイジェリア人のMoses Akatugha氏は、書かれている内容を見ることなく、拷問が終わる証書であるとサインを強いられた結果、そこには身に覚えのない罪が記載されており、罪を負わされてしまったといいます。

読まずにサイン(同意)してしまった利用規約に、思ってもみなかった内容が記載されており、それに知らないうちに同意したことになっていたという本施策は、拷問終了に係る書面だと思わされ、サインさせられたものが、実は身に覚えのない罪を認める供述証書であり、このようにいとも簡単に不当に投獄されてしまっている人がいることを身をもって体験することができるというものでした。

衝撃的な同意画面の下には、“署名”ボタンがあり、そこからアムネスティ・インターナショナル活動に署名することができるようになっていました。

キャンペーンの効果は絶大で、音楽祭に集まった多くの若者が「無料W-Fiの罠」にかかり、8600件を超える署名を集めることに成功しました。また、本施策により、活動人員やスペースの確保など、主催者側からのサポートを得ることなしに、アイディア次第では署名活動を成功に導くことができることを証明しました。

自由が当たり前となっている若い世代に、これまた当たり前になっている無料Wi-Fiサービスを使って、場所が変われば時として自由には多大な犠牲が強いられ、今なお自由が決して当たり前ではない人がいることを訴求した署名キャンペーンでした。

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アムネスティ・インターナショナルの刺さる啓発広告/プロモーション(まとめ)

動画はコチラ

参考サイト

Creative Criminals
http://creativecriminals.com/amnesty-international/wefree