Case: 趣向を凝らしたノベルティで企業カラーを伝えるマクロミルのPR活動

会社として伝えたいメッセージを発信する役割を担う広報職。会社の顔としてメディア関係者などと接する仕事だけに、「この会社は、あんなカラー」と外部に与える印象を大きく左右することになります。

マーケティングリサーチサービスを提供する株式会社マクロミルの広報室が目指すのは、「マクロミル、面白いことやってるね。チャレンジしてるね」と思ってもらえるようなメッセージを発信すること。そのために使えるツールは、プレスリリースだけではありません。同社広報室では毎年、趣向を凝らしたノベルティを企画することで、顧客企業などにワクワクや驚き、感動を提供しているそうです。

同社経営管理本部広報室の早坂直之室長と大石真史リーダーに、今年はどんなノベルティを用意したのか、そしてまた、最近になってコンテンツマーケティングの手法の1つとして注目を集めている自主調査を企画するコツについて、話を聞いてきました。


 

趣向を凝らしたノベルティで社名を覚えてもらい、営業支援につなげていく

――広報室には、会社からどんなことが求められているのでしょう。

経営管理本部広報室 早坂直之室長

(早坂氏) 当社は2014年4月、株式を非公開化しました。非上場化することによって、より攻めの姿勢を取れるようになったわけです。
「広報活動によって、どれだけ業績に貢献できたか」と目先の成果を追うよりも、「普通の調査会社がやりそうにない、面白いこと、ワクワクドキドキすることを考えてくれ」と求められています。以前よりも大局的な視点から、自社のブランドイメージを向上・浸透させる取り組みができるように、普段の業務から意識しています。

――例えば、どんな「面白いこと」をこれまでに企画してきたのでしょうか。

(早坂氏) 調査会社というと、どうしても「データを扱う」=「論理的でマジメな会社」と連想する人が多いようです。そんなイメージを覆すべく、広報室では趣向を凝らしたノベルティを毎年企画しています。

今年のノベルティは、ゴミ袋です。ドラッカーの名言「イノベーション戦略の第一歩は、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的・体系的に捨てることである」にならい、まずは身近な不要なものをゴミ袋に捨てていただこうと(笑)。

ひょっとすると、当社のゴミ袋が使われないまま、そのままゴミ箱に入ってしまうこともあるかもしれません(笑)。それでも、ゴミ袋を受け取った人の2割でいいので、「マクロミルって面白い会社だな」と思ってもらえれば、この企画は成功したと言えるでしょう。

過去には、スペード・クラブ・ダイヤ・ハートの4種類のカードに、マクロミルのロゴマークのカードを加えて5種類にしたトランプを作って、「これで新しい遊び方を考えてください」とノベルティとして配ったこともあります。新潮社とコラボして、人工衛星のパネルにも使われている“ミウラ折り”で折った紙に新潮文庫100冊のリストを載せて配り、ご希望の1冊をプレゼントしたこともありましたね。いずれも、自由でイノベーティブなアイデアを尊重する当社ならではのものだと思っています。

こうしたノベルティは、広報室としてマスコミ関係者にプレゼントするだけでなく、営業担当者から顧客企業の皆さまにもお届けしています。「マクロミルさん、毎年変なノベルティを企画しているから、楽しみにしているよ」といった感想も届くようになってきました。

こういった取り組みを通じて、“マクロミル”という社名をより多くの人の脳裏に刻み込んでいきたいんです。そうなったら、「調査が必要かも」と思ったとき、当社の名前を自然と思い出して、お声掛けいただけるようになっていくはずですから。

調査の信頼性と、メディアが「面白い」と感じてくれるかのバランス取りに苦心

――マクロミルといえば、選挙時の意識調査や消費増税に関するアンケートなど、自社で独自調査したデータをプレスリリースで配信しています。
最近は同じように、自主調査をしてプレスリリースで流す企業も増えてきました。マクロミルでは自主調査について、どのようなことを心掛けているのでしょうか。

大石真史リーダー

(大石氏) もちろん調査会社として、調査の信頼性を確保できるよう、設問設計などにはとても気を配っています。

ただ、それだけを重視して無難な設問で調査を組み立ててしまうと、メディア関係者にとっては何の面白みもないデータしか集まらないかもしれません。

一方で、メディアに取り上げてもらえるようにエッジを効かせることばかり考えてしまうと、モニターの回答を誘導してしまうなど、調査の信頼性を損なう恐れが出てきます。

そうなると、調査会社としての信頼に傷が付いてしまうかもしれませんよね。調査会社の広報としては、いつもそこのバランスが取れるように苦心しています。

長く続けることでメディアの注目を集めやすくなる定点調査

――記事として取り上げられやすい自主調査を企画するため、何かテクニックなどがあれば、教えてもらえないでしょうか。

(大石氏) 調査を単発で終わらせず、同じテーマについて定期的に調査を続ける定点調査をすることで、メディアから認知・注目されやすくなります。

例えば当社の場合、「土用の丑の日にうなぎを食べるか」「食べるなら、どれくらいの予算で考えているか」と何度か調査しました。単発の調査で得られる「今年、うなぎを食べる予定の人は6割で、平均予算は1600円」という情報でも記事が書けるかもしれませんが、以前の調査と比較して「食べる予定の人数が以前よりも増えて、予算も数百円増額した」という情報を提供できれば、「景気が回復しているのかもしれない」「うなぎが絶滅危惧種に指定される可能性があるから、多少高くても食べたいのかもしれない」と記事に膨らみを持たせられるようになります。

単発の調査で尖ったデータを集められるように工夫して注目を集める手もありますが、このような定点調査を実施することでも記者の注目を集めることはできるんです。

もう1つ定点調査には、「長く続ければ続けるほど、業界内で定着していく」という利点もあります。

当社はここ10年ほど、三菱UFJリサーチ&コンサルティングとの共同企画で、「スポーツマーケティング基礎調査」を実施して、毎年秋に発表しています。長く続けてきたことでスポーツマーケティングを扱っている新聞・雑誌などにも注目いただいていまして、「発表時期が来たら『今年のスポーツ関連市場の動向はこうだ』といった分析記事を書こう」と予定に組み込んでいただけるようになってきました。

――そうした定点調査の設問を考えるコツを教えてください。

(大石氏) 定点調査では、1度作成した設問の内容を基本的に変えることができません。設問の文章を変えるだけでも結果に偏りが出る恐れがありますから、5~10年続けても問題が発生しないように、初回の調査時に設問の立て方を入念にチェックする必要があります。

ただ、先にも申し上げたように、面白みのない調査結果をプレスリリースで発信しても、メディアで取り上げてもらうことは難しいです。

毎年継続して調査する設問の内容を変えてはいけませんが、全体の3~4割ほどはその時期の旬の話題と絡めた設問を新たに考えて、メディア関係者にとって面白い調査結果が出るように工夫するべきでしょう。

『記録的な大雪の日、帰宅不安を緊急調査』
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