Case: ハーレーダビッドソン ジャパン「WANTED NEW HARLEY-DAVIDSON RIDER」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回はアメリカ発のブランドであるハーレーダビッドソンが日本で展開した、抽選100万円分の購入クーポンが5名に当たる「WANTED NEW HARLEY-DAVIDSON RIDER」、そして「指名手配」をイメージしたを使った写真をFacebookページに投稿し、最も「いいね!」の数が多かったユーザーに純正レザージャケットをプレゼントするという「WANTED NEW HARLEY-DAVIDSON RIDER フォトコンテスト」を取り上げます。

伝統ある海外のブランドが、新たに日本発で仕掛けたチャレンジの成果は。これらを手がけたハーレーダビッドソン ジャパン株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ ディレクター 佐藤毅さん、マーケティング&コミュニケーションズ アドバータイジング&プロモーションマネージャー 大堀みほさんにお話を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人

「セルフィ」募集にアナログなひと工夫で、お客さんとのコミュニケーションも

—まずは、キャンペーンを実施しようとしたきっかけを教えて頂けますか。

我々が掲げている「WE FULFILL DREAMS OF PERSONAL FREEDOM」、つまり個人の自由という夢の実現といったモットーがあります。自由といえば7月4日はアメリカが自由を勝ち取った日、つまり「独立記念日」、この日はアメリカではスペシャルデーとして様々なイベントをやっているのですが、アメリカのブランドとしてはぜひ日本でも何かやりたいなと思い企画しました。
お客様の自由、お客様の(ハーレーダビッドソンのモーターサイクルのオーナーになるという)夢をかなえたいということで、新しいオーナーさんを探す「WANTED」というメッセージを打ち出しました。

—100万円の購入資金プレゼントと、フォトコンテストの二つのキャンペーンがありましたが。

通常のキャンペーンではなく、お客様に「なんかハーレー面白いことやってるね」と思ってもらえるようなことをやりたいなと思いました。大きな軸として100万の購入資金があたるというインパクトのあるキャンペーンがメインだとすると、さらにこれを盛り上げるサブキャンペーンがフォトコンテストという位置づけです。また、既存のオーナーさんは比較的上の世代の方が多いんですね。なので、フォトコンテストをきっかけに「何やってるんだろう」と若い世代に知ってもらいたいなという狙いがありました。

フォトコンテストは(自社サイト上でダウンロードする)「WANTED」柄のチラシを切りぬいて、その切りぬいた中に顔を入れて撮るものです。いわゆる「セルフィ」を促したところ、ディーラーさんもこれを拡大コピーして板にはめて写真を撮ります!と盛り上がってくれたんです。それを店頭で活用することで「写真撮りませんか?」「こんな表情してみませんか?」とお客様とのコミュニケーションが生まれました。WEB上で写真を投稿するだけではなくこういったアナログ的な過程を通したことで、店頭のコミュニケーションにも有効でしたね。

—実施された告知方法について教えてください。

ネット上で広告を打ったり、Facebookページ上で告知をしたりしながらも、今までにやったことないことも出来たら面白いだろうと。実は今回どういう導線を張ると見てくれるかというストーリーをつくっていました。

まずはティザーという形で、アメリカ独立記念日に何か起こるという告知をFacebookページで行いました。「新商品発売なの?」「〜が復活するの?」という反応もありましたが(笑)。Facebookページを電車の中で開いて目にして、電車を降りたら目にするタッチポイントということで関東(新宿、渋谷など)・関西(大阪中心)のデジタルサイネージに出稿し、さらに新宿駅前では「WANTED」ということでアメリカの西部劇に登場するようなポリスマンがフライヤーを配布しました。

—成果はいかがでしたか。

似た購入資金キャンペーンを2年前に行ったときより、自社WEBサイトへの訪問者の増え方が大きかったです。またデータを解析していると、自社サイトにこれまで来訪したことないユーザーからのアクセスも増えたようです。「メーカーのサイト」へは新モデルの発売時以外ではなかなか自らアクセスしないといわれるものですが、色んなタッチポイントに張り巡らしたことが功を奏したのかなと思います。

実は日本上陸101年目。「最近変わったね」と思われるよう、よりチャレンジを

—応募者の層は。

一番多かったのは30-40代ですね。フォトコンテストはFacebookページに投稿してもらうのですが、Facebookページで顔を見せるという行為も30-40代の方は案外楽しんで頂いたようです。お子さんと一緒に撮った写真もありました。この世代からそれ以上については、経済的にも購入を現実的に考えられるライフステージであることも大きいと思います。

Facebookページに投稿された写真の中でコメントをつけあったり、「いいね!押してね」というやり取りが起きたりしていたのは狙い通りでした。ハーレーを所有しているオーナーさん同士の繋がりはとても強いんですね。もしかするとその繋がりがFacebookページ上のやり取りでも活きていたのかもしれません。

—ちなみに通常時も含めて、Facebookページの運用方針などはございますか。

WEBサイトがストック型、Facebookがフロー型のメディアとして捉えています。運用の方針としては、ブランドの持つ「自由」な世界観を感じてもらったり、金曜日に「TGIF!(Thank God, it’s Friday!)」週末楽しもうぜというアメリカらしい投稿をしたり、一方とてもマニアックなお客様もいらっしゃるので、パーツなどの細かい情報などもアップしています。振れ幅を意識しつつ、色々なポケットから情報を出しています。ほかの国のハーレーダビッドソンではイメージ訴求な投稿がほとんどですが、日本は特に様々な切り口の投稿をしています。

—それだけブランドが日本で根付いているということでしょうか。

本社(アメリカ・ミルウォーキー)は今年設立111年目なのですが、日本はそのわずか10年後に上陸したので101年目、歴史は古いですね。三世代でもハーレーダビッドソンを通じて共通の会話が出来るのが強みですね。

—本社や他国からは今回のキャンペーンについて何か話はあったのでしょうか。

実は各国ごとに運用は比較的任されています。日本は国土も小さいのでナショナルキャンペーンを打ちやすいですが、一方アメリカはあれだけ広いと州によって好みもルールも違いますし、ブランドが主体となって全米でキャンペーンを行うより、ディーラーさんが主体となってキャンペーンを行う方が多いです。また、インドなど東南アジアでは日本よりさらに若い層が「クールになりたい」と思い、乗るブランドの位置づけであったりします。各国の連携としてはグローバルマーケティングミーティングでヒントを得ることは多いですね。他国の事例を「そう来るか、日本ならどう出来るか」と咀嚼してとらえています。

—今後の構想はいかがですか。

「最近ハーレー面白く変わったね、かっこいいことやってるね」と思ってもらえるような施策をどんどんやっていきたいですね。扱う商品・ブランドは変わらないものですから伝え方などで表現していければと思います。また、最後はやはり「乗って」感じてもらうことが必要なので、バーチャルの世界からどう橋渡しをするか、リアルの世界で体験してもらうことにどうつなげるかという点はこれからもチャレンジですね。

【Interviewee】


ハーレーダビッドソン ジャパン株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ
ディレクター
佐藤 毅さん(左)
マーケティング&コミュニケーションズ
アドバータイジング&プロモーションマネージャー
大堀 みほさん(右)