Case: Creative Coupons

オンライン、オフライン問わず様々な形で日々現代人に配布されるクーポン。今回は、そんなクーポンをただばら撒いて使ってもらうのを待つのではなく、ターゲットのインサイトを突いた“思わず使いたくなる”世界のクーポンを厳選してご紹介します。

アイディアの参考になる事例の数々を是非ご覧ください。

1.フランスのニット専門店、“編み物が上手な人ほど”お得になるクーポン

[国名:フランス/企業名:Bergère de France]

フランスの編み物用品の専門ショップ「Bergère de France」によるユニークなクーポン。同社が店舗で配布する冊子に掲載されている、“割引率が明示された編み物のデザインパターン”を、お客さんがそのパターン通りに編んで完成したニットを店舗に持参することにより割引を受けられるというプログラム。

すなわち、割引クーポンを「お客さん自身の手により作り上げる(編み上げる)」という世界初の企画です。当企画のコピーは、“The better you knit, the more you save.”(編み物が上手くなるほど、費用を抑えられますよ)というもので、5%引き、10%引き、15%引き、20%引きと4種類のクーポンパターンが用意されていますが、割引率が大きなもの程、編み込む難易度が上がっていくという仕掛けでした。

2.Webサイトのアドレスを入力ミスすると…

[国名:イスラエル/企業名:Opticana]

コンタクトレンズブランド・Opticanaによる予算が年間わずか500ドルのデジタルプロモーション。視力の悪い人がおかしがちなWEBサイトURLの“入力ミス”に着目して、イスラエル国内で人気のあるWEBサイトの類似アドレスを10ドメイン取得。(例えば、www.google.com → www.hoogle.comなど)

取得したアドレス上では、ユーザーが本当に辿り着きたかったWEBサイトへの誘導を行うと同時にOpticaのクーポン券を配布しました。結果、キャンペーン開始数ヶ月後には数百人がOpticaの用意した入力ミス用のWEBページにアクセスしたそうです。

3.「負け割」。それは、スポーツファンのインサイトを捉えたデジタル施策


[国名:スウェーデン/企業名:O’Learys Sports Bar]

スウェーデンのストックホルムで実施された愉快なデジタル施策。O’Learysはスウェーデンでは有名なスポーツバー。好きなチームを誰かと一緒に応援したくて集まる人々がメインの顧客です。

スポーツファンたちは、自分が応援しているチームが勝っているときは、たくさんお酒を飲むため、お金を落としてくれる非常にいいお客さんですが、逆にチームが負けている時はあまりお店に足を運んでくれないという問題がありました。負けている時にも、お店に来てほしい。そこで考えられたのが、「負け割引」でした。

応援しているチームが負けている時、70クローナ割引になるという企画です。仕組みはシンプル。メールアドレスと応援しているチームをスマートフォンに入力するだけ。もしもそのチームが負けている場合は、その場でクーポンが発行されます。

これにより同スポーツバーは「幸せな敗北者」を作り出すことに成功し、お店に足を運ぶ『理由』を作り上げたのです。スポーツファンを良く観察したからこそ生まれた、スポーツバーならではの取組みでした。

4.“自動車のアンテナ”を活用したゲリラマーケティング

[国名:USA/企業名:FATZ Restaurants]

アメリカのレストランチェーン・FATZ Restaurantsによるゲリラマーケティング。街中に駐車してある自動車のアンテナに、同店名物の“ケパブのデザイン”をした5%OFFのクーポンを取り付けました。車のアンテナが、ケパブに必須の『串』の代わりになっているというクリエイティブです。

車に戻ってきた運転手がケパブをアンテナから取り外して裏返すと、クーポンの存在に気が付くという仕掛けでした。自動車のアンテナをケパブの『串』に見立てるという発想がユニークです。

5.ファンが3万人もいなくなったのに成功!? “ファンの忠誠心を試す”2択企画

[国名:ノルウェー/企業名:Burger King]

ユニークなプロモーションでお馴染みのバーガーキングがノルウェーで仕掛けたキャンペーン。Facebookを「いいね!」しているファンのうち、クーポンや無料サンプル等の特典目当てで「いいね!」をしている“偽物のファン”をFacebookページから削除し、“真のファン”だけのページを構築するという大胆な試みを行いました。

バーガーキングの「ワッパー」と言えばバーガーキングの代名詞的商品ですが、心の底からワッパーが好きな人もいれば、バーガーならなんでもよく、ワッパーでもマクドナルドのビッグマックでもどちらでもいいという人も多いはず。同社はそんなインサイトに着目して“Whopper Sellout”キャンペーンというサイトを開設。“偽物のファン”を暴くために、ファンに「究極の2択」を投げかけました。

「究極の2択」とは、ずばり“私は真のファンです”または、“私は裏切者です”の2択。“真のファン”を選択すると、新たに制作されるFacebookの公式ファンページに登録することができ、引き続きFacebook上でバーガーキングファンであり続けることができます。一方“裏切者”を選択すると、マクドナルドのビッグマックの無料クーポンがもらえますが、Facebook上のバーガーキングの公式ページからは永遠に削除されてしまいます。“裏切者”には、無料クーポンとともに、バーガーキングからの“お別れのレター”が送付されました。

このキャンペーンの結果、1,000枚用意したビッグマックの無料クーポンは一週間でなくなり、キャンペーン実施前は38,000人いたFacebookページのファンは8,000人あまりにまで減少したとか。バーガーキングは、ファンは激減したけれど、“真のファン”だけに絞ることに成功し、ブランド忠誠心は5倍に向上したといいます。

6.“汚れた自動車のオーナー”だけがもらえるクーポンで来客20%増

[国名:ブラジル/企業名:Car Wash Park]

ブラジルの首都サンパウロにある洗車サービス「カーウォッシュパーク」が、数多い洗車場の中から新規顧客を獲得するために配布したクーポンがユニークです。

今回同社が目をつけたのは、“確実に洗車のニーズのある人”、すなわち“砂埃まみれの車”のオーナー。近所の道路やショッピングモール、スーパーなどに駐車されている“物凄く汚れた自動車”の窓ガラスに、“特殊なステンシル”を置いて文字部分だけを綺麗にふき取ります。すると、『今なら洗車50%ディスカウント』というクーポンメッセージが窓ガラスに“刻印”されるという仕掛け。

しっかりと文字が刻印されるために、“とっても汚い車”のオーナーだけがこのスペシャルなクーポンを手にいれることができたようです。こちらの取り組みの結果、キャンペーン期間1ヶ月間で77人の新たな顧客を獲得し、その後も従来比20%増の来客を毎月獲得できました。

コストをあまりかけずに、“ターゲットに刺さる”アイディアだけを武器に新規顧客を獲得したケース。日本だと、このクーポンを刻印できる自動車を見つけること自体が困難なので、気候条件や人々の洗車に対する意識などの“条件”が揃ったブラジルならではの発想と言えそうですね。

7.自然に優しい“落ち葉”クーポン

[国名:カナダ/ブランド名:Kerrisdale Lumber]

庭仕事の専門用具を販売するカナダの小売店・Kerrisdale Lumberが、稼ぎ時である“秋”に手掛けたユニークなキャンペーン。道ゆく人々に『この秋、庭仕事用の商品を購入するならKerrisdale Lumberがベスト』だと訴求することが狙いです。

同社は、ショップのそばに落ちている“本物の落ち葉”に「商品が10%引きになるスタンプを押す」ことで、恐らく世界で初めての“落ち葉クーポン”を制作しました。スタンプの種類によって、ディスカウントされる商品カテゴリが異なるのも特徴。例えば、箒や手袋、送付機などがあります。

“秋の庭仕事”と“落ち葉”は、切っても切り離せない関係ですが、その関係性を巧みにプロモーションに活用している点が秀逸です。普通のクーポンをただばらまくよりも、ずっとお客さんを店内に誘導して商品購入を促してくれそうなクーポンですよね。

8.バレンタインデーから9ヶ月後に使用できる“子作り応援”クーポン

[国名:オーストラリア/企業名:IKEA]

オーストラリアのIKEAが2月14日に新聞に出稿したクーポン付広告。バレンタインデーに“仕込む”カップル向けに、9ヶ月後(11月14日)に生まれてくる赤ちゃん用のベビーベッドを無料でプレゼントするという主旨のクーポンです。

クーポンはバレンタインから9ヶ月後にクーポンとともに生まれたばかりの赤ちゃん or 出産証明書を『バレンタインデーに仕込んだ証拠』として見せることで使用することができます。「そこそこの値がするベビーベッドが今日子供を仕込んだらタダになるので、是非子作りに励んでください!」といった、半分ジョークも交えたメッセージを発信しているようです。

9.脱毛ワックスの“痛くて愉快な”屋外キャンペーン

[国名:カナダ/企業名:Fuzz Wax Bar]

女性なら誰もが知っている、脱毛の痛みや煩わしさ。それを面白さ満点の方法で表現した、脱毛ワックス「Fuzz Wax Bar」の屋外キャンペーン。

キャンペーンが実施されたのはカナダ、トロント。週末を楽しむ人々で賑わう街中を、裸の男性モデルが「pull(引っ張って)」と書かれた紙を体中に貼って歩いています。紙には脱毛ワックスが塗ってあり、それをベリっと引き剥がすと、男性モデルの「Oh!」というリアクションと共に、脱毛された毛が紙に一緒にくっついてきます。

ワックス部分の下には「From Bear Arms to Bare Arms.」(熊[ベアー]のような腕からつるつる[ベアー]の腕に)と、思わずくすっと笑ってしまうようなキャッチコピー。さらにこの紙自体が「Fuzz Wax Bar」の割引クーポンになっていて、お店に持参すると25%オフで購入できるという仕掛けでした。待ちゆく人を笑顔にしてしまう、楽しい広告ですね。

10.前代未聞の“ベーコン”クーポン

[国名:カナダ/企業名:Rashers]

北米唯一のベーコンサンド専門のサンドイッチショップ「Rashers」による奇抜な屋外クーポン。「このベーコンを1枚店舗に持ってきたら、Rashersのベーコンサンドを無料で差し上げますよ!」と大きく明示されたポスターの下に、調理済みの本物のベーコンが何枚もつけられているという企画でした。

本物のベーコンがクーポンの代わりになるというベーコン大好きなアメリカ人らしい驚きの施策です。

11.“ソフトクリームクーポン”で美容室の新たな顧客を開拓

[国名:韓国/企業名:Leekaja Hairbis]

韓国の美容室がオープン37周年を斬新な手法でターゲットに宣伝し、新たな顧客開拓につなげることを意図したプロモーション。紙でできたコーン部分にクーポン(37% OFFと内側に記載)を使用した、鮮やかな色と味のソフトクリームをターゲットにサンプリングしました。

クリーム部分を女性の髪の毛に見立てた点が斬新で、美容室のチャレンジングな姿勢を効果的に示しています。このクーポンは1,000枚配布され、115枚が実際に使用され潜在的な顧客の獲得に成功したといいます。

12.持っていくのが物凄く困難なクーポン

[国名:カナダ/企業名:Iron Kore Performance Training]

カナダのスポーツジム「Iron Kore Performance Training」の一風変わったクーポン。テーマは「コンクリートブロッククーポン」。

街中に置かれたこの“コンクリートクーポン”を「Iron Kore Performance Training」ジムに持っていくと、ジムの1カ月パッケージが無料になるという内容。「Iron Kore performance training」のトレーニングはそんじょそこらの生半可なものではないということを示唆する試みでした。

13.5分間TVを見続けるとバーガー1個タダ


[国名:USA/企業名:Burger King]

バーガーキングの実験的なキャンペーン『WHOPPERLUST』(=ワッパーへの渇望)。『DirecTV channel 111』と連携した企画で、『DirecTV channel 111』にチャンネルを合わせると「バーガーキング」のワッパーがグルグルと回転している様をひたすらと放映しました。

このグルグルと回転しているワッパーを生活者が5分間見続けるだけで、ワッパーを1個無料でもらえるという仕掛けです。なお、10分間なら2個無料でもらえるそうで、デジタルテレビのインタラクティブ機能を使ってクーポンは配布されます。ちなみに、視聴者は画面上に時々表示されるポップアップイメージにリアクションを取らないといけないそうで、不正(ワッパーを見続けないでチャンネルだけ合わせておく)はできないようにも設計されていました。

この試みは数日で5万個のワッパー(クーポン)が無料配付され、生活者の時間を25万分(=4166時間以上)も引きとめ、ワッパーを直視させたそうです。

商品・ブランドを、これ以上ないというほど“シンプルに脳に刻み込む”アプローチですね。一歩間違えれば生活者に迎合してしまうような、一般的な顧客視点のプロモーションからは辿りつきえない、『バーガーキングがあくまで生活者を完全にコントロールするんだよ』という上から目線のマーケティング的発想を感じました。

同時に、現在は生活者に力が移ったといわれる時代ですが、コンテンツとスキームと既存のブランドイメージを駆使することにより、サプライサイドに力を引き戻し、十分にその力を行使できるということを示す一例だと思いました。

14.“クライマーだけが手にできる”割引クーポン

[国名:オランダ/企業名:Klimmuur Centraal Indoor Rock Climbing]

室内ロッククライミングジム「Klimmuur Centraal Indoor Rock Climbing」が手掛けたユニークな割引クーポン。アムステルダムの街中の壁や電柱の“かなり高い位置”に、1枚のポスターを貼り付け、その下に「ジム利用料が50%OFFになる」クーポンを配置しました。

クーポンを『クライマー』に使用してもらうことだけを狙いにしたのではなく、事業内容を通りすがりの人(潜在層)にまで、ユニークな手法でコミュニケートすることを意図していると推測されます。合わせて、「ジムに通ってクライミングができるようになる」と、『こんなお得なチャンス(50%OFF)を自らの手で手繰り寄せられるようになるかもね!』ということを示唆しているのかもしれません。

15.“新鮮でジューシーな”クーポン

[国名:グアテマラ/企業名:Shasta]

中米のグアテマラで「Shasta」という名のオーガニックケータリングサービスが実施したキャンペーン。同社が自信をもつオーガニックフードを訴求すべく、オーガニックフードそのものを使ったDMを制作しました。

本物の洋梨やバナナやりんごなどにオーガニックのインクを使用してメッセージを入れました。メッセージは「この文字が読めるまでは、このクーポンが有効です」と書かれています。すなわち「果物が痛んで黒くなる現象」を利用して、オーガニックフードを期間限定のクーポンへと変えたのです。

このDMの結果は驚くべきもので利用者が20%も増加したといいます。商品の魅力を語るために、商品そのものをクーポンとしてしまったアイディア施策でした。

(番外編)他社の期限切れクーポンで50円値引き!『期限切れクーポン大復活祭』

[国名:日本/企業名:はなまるうどん]

讃岐うどんの全国チェーンであるはなまるうどんが2012年に実施した秀逸なキャンペーン。その名も、『期限切れクーポン大復活祭』。300円以上の商品を購入し、お会計時に期限切れとなったクーポンを提示すると「50円値引き」になるという企画。面白いのは、日本全国、どんな期限切れクーポンでもOKだということ。

他社発行のクーポンを用いたこのキャンペーン。「それっていいの?」とも思われますが、発行元の企業はすでに期限を切ってしまった手前、所有権を主張することができなければ、「割引券」として店舗で受け入れることもできません。そんな「紙切れ」を、はなまるうどんで「金券」として復活させよう!というなんとも懐の大きな取り組み。

はなまるうどんが実施したアンケートによると、財布の中になにかしらの「割引券・クーポン券」が入っている人は全体の72%。そのうち期限切れの割引券・クーポンが残っている人は、59%にのぼるといいます。消費者のオサイフ内事情も十分に調査した上で、狙いを定めて実施されたこのキャンペーン。その狙いは来店者数の増加と共に、日本の景気回復へ寄与することにも向けられており、キャンペーンの売上の一部はNPO法人へ寄付されたそうです。

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