Case: TOYOTA「Dream Car of the Day」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回はトヨタが75以上の国・地域で実施している「トヨタ 夢のクルマアートコンテスト」、この応募作品の中から「ファイナリスト」作品を「Dream Car of the Day」サイト上で90日間毎日公開している施策を取り上げます。株式会社トヨタモーターセールス&マーケティング(TMSM) コミュニケーション局 デジタルコミュニケーションユニット シニアデジタルコミュニケーションプロフェッショナル 鬼澤慎一さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人

「あなたの夢のクルマ」を表現した絵の世界観を、Vineを活用し表現

—まずは「トヨタ 夢のクルマアートコンテスト」の概要をお教え下さい。

2004年から実施していて今年で10周年、実施としては8回目です。今年は75以上の国・地域が参加しており、大規模なコンテストに発展してきています。子供を対象に「あなたの夢のクルマ」をテーマに描かれた絵を応募してもらい、国ごとにローカルコンテストを行います。

そこから各国の優秀作品を集めてワールドコンテストを行い、金賞などの各賞は8月27日にお台場のMEGA WEBで発表になります。「ベストファイナリスト」上位30名を日本に招待し、日本の雰囲気を感じてもらったりトヨタの施設を回ったりといったアクティビティも行っています。このコンテストを通じて、よりよい未来やモビリティ社会について考える機会を多くの子供たちに提供したいと思っています。

我々の部署はこのコンテストを盛り上げるデジタル施策を担当しておりますが、今回は「Dream Car of the Day」と題して、ワールドコンテストの「ファイナリスト」90作品を5月29日から授賞式前日の8月26日まで、一日一作品webサイト上で発表しています。毎年60万点以上の応募があり、その中には、素晴らしい作品が沢山あります。一つ一つの作品をヒーローとして紹介するこのキャンペーンを通して、それらの作品をより多くの人に知ってもらいたいという想いを込めています。

—「ファイナリスト」の作品紹介にVine映像を活用している理由は何でしょう。

映像を通じて、子供たちが描いた絵のコンセプトやテーマに対する気付きを与えたかったからです。6秒という長さとVineの特徴であるループで再生されることを活かして、何度も見てもらえるような映像にしたいと。Vine映像を見た後に、改めて子供たちの絵を見ていただくと、違う発見があると思います。

—どのように動画化されているのでしょうか。

ここは社内でも、絵を映像化する際にどこまで解釈を入れていいのかという点を沢山議論しました。我々のスタンスとしては極力新しい要素を入れず、絵のコンセプトをリスペクトして作っています。我々がどのように解釈したのかは、webサイト上にBehind the sceneとして記載しているので、子供たち本人が書いた解説と一緒に読んでもらえると絵の内容をより深く理解いただけます。

—全世界からの応募ということで、各地域・各国での特徴的な募集方法があればお教え頂けますか。

アメリカでは現地の日本でいうボーイスカウトのような団体とタイアップしたり、タイ、ベトナムでは教育省と提携したりといった例があります。また、パリのシャンゼリゼ通りにあるトヨタのショールームでは、訪れるお客様のお子さんがその場で絵をかける夢のクルマコーナーがあります。各国でのコンテストはその国の販売会社が主導で行っているので、TMSMからは、それらの活動に対するサポートキットなどを提供しております。

—応募作品は、どの国からが多いでしょうか。

アジア、中近東、アフリカからの応募が多いですね。作品によって地域や国の特色が出ているものがあってとても興味深いです。数年前には、サイの密猟が社会問題になっているというジンバブエの子供から、密猟をプロテクトする車という募集がありました。

また、今年フランスの子から応募のあったキャンディークラッシュという作品など、子供の純粋な発想からうまれてくる作品も多く、子供の想像力や閃きに感心させられることが多いです。

ワールドワイドでのキャンペーンを成功させる為の考え方・工夫した点

—ファイナリストの作品を紹介するこのサイトの制作の上で、こだわった点をお聞かせ下さい。

まずは、子供たちの作品をヒーローとして紹介することです。多くの要素を入れずにシンプルに表現することで、子供の絵をメインとし掲載されることで子供たち本人に喜んでもらえるようなサイトにしたいと思いました。またグローバルキャンペーンなので、異なる国の異なる環境からでも、ある程度しっかり閲覧出来るようなサイトにしたいと思いました。

単国向けのキャンペーンの場合あまり考える必要がありませんが、今回はアジアや中南米などからも多くのアクセスが予想される為です。具体的には、国によって異なる通信環境とデバイスへの対応で、サイト公開後もエージェンシー(サーチ&サーチ ファロン)の方と協議しつつ改善を加えています。スムーズでストレスのないサイト閲覧体験を提供することで、90日間のキャンペーンの中で何回でも訪れたくなるようなサイトに出来ればと思っています。

またサイトへの集客については、先進国とその他の地域、それぞれに対して考え方を持って展開しています。先進国の場合、広告は単価が高く効率が良くないので、いかにメディアなどを通して話題にしてもらうか、その上でいかにSNS上で拡散してもらえるかというところを意識しています。このようなキャンペーンは先進国で影響力のあるメディアが取り上げてくれることで、その他の国や地域に波及していくことも多いでしょうし。

弊社の友添社長にも積極的にメディアに喋ってもらうようにお願いをしていて、ちょうど先日のアメリカ出張時にUSA TODAYの記者に対して話した内容が、「若者の車離れ」切り口の記事で紹介されました。車離れに対応する施策として「子供向けコンテスト」「オンラインのキャンペーン」をしている、という形での紹介ですね。

一方、先進国以外では比較的広告の単価が安いので、オンライン広告も一つの集客手段として積極的に活用しサイトへの流入を狙います。今はアドテクノロジーが発達し、90日間という限られた期間の中でも沢山の改善が出来るので、リアルタイムに最適化を図っています。

また、自社のFacebook、Twitterページでもキャンペーンについての告知、情報発信をしていますが、他のグローバルキャンペーンを実施する中で得た経験則としても先進国ではソーシャル疲れなどもあり反応率は比較的低く、それ以外の地域の方からは高い反応があると読んでいます。国、地域を跨いだキャンペーンでは一つのやり方だけだと難しいので、今後もいろいろと試していきたいと思います。

【Interviewee】

株式会社トヨタモーターセールス&マーケティング(TMSM)
コミュニケーション局
デジタルコミュニケーションユニット
シニアデジタルコミュニケーションプロフェッショナル
鬼澤 慎一さん