気鋭のクリエイターが、アーティストや俳優などの表現者とタッグを組み、新しい形の動画作品を制作する番組『○○と新どうが』(テレビ東京で月~木曜 深夜1時30分/金曜深夜1時53分より放送)。完成作品は「LINE LIVE」にて「Portrait Film Project」としてアーカイブ。番組放送と連動しての生配信なども行われています。

AdGangでは、この『○○と新どうが』で動画作品を手がけたクリエイターに取材。作品の内容とともに、制作過程で感じた”縦型動画”の可能性なども伺っていきます。

OA第5弾は、ドキュメンタリー「山田孝之のカンヌ映画祭」も話題になった、映像監督・松江哲明さんによるもの。韓国発・日本デビューを果たしたユニットEXO-CBXのFree Showcase(ライブ)“Colorful BoX”に密着。ステージを捉えた3アングルのほか、観客にスマホ100台を渡し、メンバー3人にもスマホで撮影をしてもらい、このライブの様子や舞台裏の動画素材を集めました。そして、それらの素材を組み合わせたドキュメンタリーが完成。松江さんに、”スマホ100台”というアイデアや、制作に込めた想いを伺いました。

”撮る側・撮られる側という区切りがなくなってきた”変化を取り入れていく

―まずはスマホで撮影するという方法への考え方について、聞かせていただけますか?

スマホの映像はこれまで作品の中でも入れていました。カメラが小さいことでより親密さが出るので、カメラがあると威圧感をなくしたいときなどに使っていましたね。スマホは今の映像表現で道具として切り離せないものと思います。
ただ、映画の場合は横に広がるスクリーン、テレビも16:9ですから、縦の映像は発表する場が少ないという面があったんですね。

―100台をファンの方に配るという発想はどのように生まれたのでしょうか?

考え方が極端なものが好きで、やるなら徹底的にと思っていました。ライブに3万人集まると聞いた時に10-20台程度では面白くないなと思い、100という数字を出しました。ただ実際には集まった方の熱量がすごくて、100台でも足りなかった位です。

海外のコンサートではお客さんがみんなスマホで撮っているじゃないですか。スマホで撮ってYouTubeにアップされているような映像はワンカットのものなので、そこの編集にプロの技術を入れるだけでまた映像の印象が変わるんですよね。また、ステージを撮る画についても、縦動画だからこそテレビ(横)で放送した時に3つぐらい並べるのがちょうどいいという面で、上手・中央・下手とアングルを分けて撮るという形にしました。

―ライブの当日、タワーレコードに行ってファンの方にスマホをお渡ししていましたが、反応はいかがでしたか?

皆さん協力的で、ほとんど受けてくれました。「メンバーたちが(その撮った動画を)みてくれる」という面を喜んでいただいたようです。僕もEXO-CBXさんのファンはこういう人たちなんだ、幅広い人たちに愛されているんだということがその時間で分かりましたね。

―どういう画が撮れるかなど、想定はされたのですか?

ある程度想定はしましたが、あまり想定できていない画こそが面白いので。想定できていないカットがどれだけ撮れるかとも思っていました。

―EXO-CBXの皆さんによる舞台裏の映像もありましたね。

昔は撮る人と撮られる人の区切りがはっきりしていましたが、今はそれが全くなくなって、誰でもボタンを押せば撮れるような時代になりました。そんな時代になったときに、撮る側・撮られる側という区切りはあまり意味がないし、作品を作る側はその変化を取り入れていかないと、と思っています。

ライブのあった1日を追ったドキュメンタリー

―松江さんは多くのドキュメンタリー作品を手がけられていますが、今回の作品もやはりドキュメンタリーという定義になるのでしょうか。

そうですね、ライブのあった丸一日のドキュメンタリーですね。朝からタワレコに行って、代々木公園に行って、様々な人が集まるのをみていて感じた上でこの映像があります。僕の丸一日思ったことを伝えています。

Fun Message ver. の動画で、お子さんが「楽しかったです」と言っているシーンで終わるのは、集まった人がみんな子供の顔—女性の方であれば少女の顔になっているなと感じたからです。女性たちが少女に戻れることがEXO-CBXさんのパワーだと思いますし。

また、今回は「この素材がこうなってくるから、次はこっちにいかないとね」という作り方をしていきましたが、これはいい編集をやっている時の感覚でした。いい編集というのは、素材が”次”を教えてくれるんですよ。次にこの素材を繋ごうという答えを教えてくれるんですね。

ファンの方のエネルギーやEXO-CBXさんのエネルギーに乗っからせていただいた、教えていただいたという感覚です。楽しかったですし、撮っている時本当に気持ちよかったですからね。「今(その場に)走っていたエネルギーを捕まえた」という感覚です。あれはなかなか味わえない感覚ですね。

―ファンの方からの反応もありましたか?

Twitterにファンの方から「こういうところを撮ってくれてありがとう」などとメッセージをいただけるのは嬉しかったですし、うちの息子が「Ka-CHING!」で踊っていた様子をTwitterにアップするとファンの方も反応してくださいました。番組が放映された間のあの三週間はすごく楽しかったですね。

また、普通作品は完成してから観てもらうものですが、今回は(番組を通して)出来上がっていく過程を随時観てもらえる、その過程が面白かったですね。

―改めて、今回の作品を作るにあたってのこだわられた点をお聞かせください。

EXO-CBXさんとファンの方々にとって、思い出の1日になっていたらいいなと思います。これからもっと大きい規模でライブされていくと思いますが、「あの日のシークレットライブ」としての記憶が鮮明になるように、みんなが思い出すものーーその点は意識しました。

また日頃から作品づくりについては、瞬間風速的に、ネガティブな方法でもいいから話題になればいいやというものに対しては抗いたいと思っています。僕はあまりそういった話題の力は信じていなくて、たとえ数字の上がり方が瞬間風速的に大きくないとしても、観た人・関わった人が楽しかったなというものを作りたいと思っていますね。

―最後に、縦型動画の活用法についてもお聞かせいただけますか?

僕はやはり横で育ってきたので、横に広がるということをDNAレベルで刷り込まれていますが、むしろ「縦の方が自然」という人が出てきた時に、それが日常である人の目線から表現できるのではないかと思います。
実際に今回思ったことは、三人を縦で撮ることは難しいなというところですね。そこでスプリットスクリーンとして、上手・真ん中・下手で分けるという形をとりましたが、やはり一対一で向き合う、パーソナルな関係を生み出すというサイズなのかなと思います。

『○○と新どうが』次回は8月30日(水) 25時30分~25時35分OA。映画監督・木村好克さんと、川栄李奈さんによる作品が紹介される。

EXO-CBXと新どうが①/Ka-CHING!~ 6.7(wed) Live~ created by 松江哲明:http://www.tvtokyo-play.com/series/marumaru-shindouga/0006.html
EXO-CBXと新どうが②/Ka-CHING!~3Angle ver.~ created by 松江哲明:http://www.tvtokyo-play.com/series/marumaru-shindouga/0007.html
EXO-CBXと新どうが③/Ka-CHING!~Fun Message ver.~ created by 松江哲明:http://www.tvtokyo-play.com/series/marumaru-shindouga/0008.html
EXO-CBXと新どうが④/Ka-CHING!〜Off-Shot ver. 〜 created by 松江哲明:http://www.tvtokyo-play.com/series/marumaru-shindouga/0009.html
EXO-CBXと新どうが⑤/Ka-CHING!〜Special Mix ver.〜 created by 松江哲明:http://www.tvtokyo-play.com/series/marumaru-shindouga/0010.html: