Case: メルカリ×鹿島アントラーズ

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は4月7日に発表された、メルカリの鹿島アントラーズへのクラブオフィシャルスポンサー契約について取り上げます。4月8日開催の明治安田生命J1リーグ第6節に合わせて、クラブ主催イベント開催時に限り鹿島サッカースタジアム駅から茨城県立カシマサッカースタジアムまでの太陽光発電施設エリアを「メルカリロード」と命名、試合後に鹿島アントラーズ関連のグッズや選手に関する普段は手に入らない品を出品するなどの施策を実施。IT×スポーツの新たな取り組みとして話題になりました。

さらに9月9日 明治安田生命J1リーグ第25節 大宮アルディージャ戦を「mercari day」とすることを発表。来場者だけが視聴できる当日限定の360度VR動画の提供や、アントラーズOBによるトークショー・出品などを行う予定となっています。

そこで今回は、改めてこのオフィシャルスポンサー契約のメルカリ側の担当者である株式会社メルカリ マーケティンググループ 清野圭亮さんに、これまでの振り返りと、今後の施策予定を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人

世界を狙う姿勢が合致

—改めて、メルカリがスポーツ領域に力を入れ始めたきっかけについて伺えますか。

今年1月にプロアスリート(車椅子バスケ)土子大輔、篠田匡世を採用したことが最初です。メルカリは若い女性が使用しているイメージが強く、もう一つ上の段階に行くために男性も含めユーザー層を広げていく必要があります。スポーツという性別や世代問わず共感できるものを通してブランディングしていきたいという狙いが背景にあります。

—なぜ鹿島アントラーズとのパートナーシップだったのでしょうか。

鹿島アントラーズは、国内屈指の実績を誇り、昨年のクラブ世界一を決める「FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016」では、日本のクラブとしては勿論、アジアのクラブとして初めて決勝に進出し、準優勝に輝いた日本を代表するサッカークラブです。

鹿島アントラーズの日本から世界を目指しているクラブの姿勢とメルカリの「世界を獲りに行く」という想いが一致しているというところがきっかけです。さらに弊社社長の小泉文明と鹿島アントラーズの鈴木秀樹取締役事業部長が最初にお会いした際、「鹿島アントラーズは今後デジタル領域にも力を入れていきたい」というお話があったことも大きいです。鹿島アントラーズ側からは、打ち合わせの場でもどんどんアイデアを頂き、「こんなのどうですか」「こんなことできます」と積極的な姿勢で臨んでくださっています。オフィシャルスポンサー契約の決定から約一ヶ月で実際の公式戦での施策が実現できたのも鹿島アントラーズの柔軟な体制があってこそだと思っています。

選手とサポーターをつなぐプラットフォームとしても

—オフィシャルスポンサー契約発表翌日の公式戦で実施された施策について、改めて教えてください。

オフィシャルスポンサー契約が決まったのが約一ヶ月前。そこからできること且つ、できるだけサポーターの方やそれ以外のみなさんにもインパクトを与える施策をしたいという点は念頭にありました。

クラブ主催イベント開催時、JR鹿島サッカースタジアム駅からスタジアムまでの太陽光発電施設エリアが「メルカリロード」と命名され、そこにTシャツやリストバンドなどのノベルティを貼り付けた全長16mにも及ぶ巨大なウォールを設置。さらに入場者には鹿島アントラーズ×メルカリデザインのステッカーを先着20,000枚に配布しました。スタジアム内には、来場者がスマートフォンで撮影した写真にハッシュタグをつけてSNSに投稿すると、その場でアントラーズオリジナルフレームがついた写真としてプリントされる「PICSPOT」というSNS連動型フォトブースも設置しました。

そして試合の前日には中田浩二CROにご出演いただき、メルカリでの出品や商品に関する説明をYouTubeで公開し、試合翌日に出品するという施策を行いました。同様の出品は初回だけでなく、オフィシャルスポンサー契約後J1リーグ戦の全ホームゲームで行っています。監督・全選手のサインが入ったユニフォームや土居聖真選手が実際にクラブW杯などのゲームで使用したスパイクをサイン入りで出品していただいたりもしました。いずれも数秒で落札されています。

—今シーズン、これからの施策についても伺えますか。

主にメルカリへの出品がメインの施策になっていくと思います。メルカリが選手とサポーターをつなぐ場所としてのプラットフォームとしても機能していくといいなと思います。

また、現在検討しているのは「メルカリの名前は知っているが使ったことはない」という人への利用促進です。特に男性の方に、きちんとメルカリの説明をしてエンゲージしていく場を作る必要があると考えています。例えばスタジアムでメルカリブースを出店し、カスタマーサポートのメンバーが使い方のご相談を受けるといった地道な活動にも力を入れたいと考えています。
大きな施策としては、様々なコンテンツを盛り込んだ冠試合を9月9日の大宮アルディージャ戦で実施予定です。

—鹿島アントラーズの方から、オフィシャルスポンサー契約を結んで良かった点などの感想も出ていますか?

オフィシャルスポンサー契約を4月7日に発表したのですが、発表以降、その翌日の試合のチケットが伸びたそうです。どこまで貢献したかはもちろんわかりませんが、平均動員数が19,000人程度のところで、その試合は21,078人入ったので、この点は感謝のお言葉をいただけました。

まずサポーターに受け入れていただくこと

—IT企業がプロスポーツと組むことにおいて、文化の違いなどを意識される面もあるのでしょうか?

メルカリと鹿島アントラーズとの関係性だけではなく、その先にサポーターもいらっしゃることを念頭において企画するように気をつけています。どの施策も、まずサポーターの方に喜んでいただくことを理解するためにSNS等でも常に反応はチェックしていますし、鹿島アントラーズの方からもご意見をいただきながら、今も進めています。

—メルカリとしても今後、スポーツ領域には積極的に関わって行くのでしょうか。

その予定です。野球でも7月7日に開催された北海道日本ハムファイターズの「スターフェスティバル Supported by メルカリ」にスポンサーしたり、バスケでは6月にBリーグの熊本ヴォルターズとのコラボを実施しました。メルカリフリマというリアルのフリーマーケットイベントを熊本のテレビ局と一緒に行ったのですが、イベント内のステージコンテンツで選手の方にも出演していただきました。震災の影響で、昨年はヴォルターズのファン感謝祭が開催できなかったという話を聞き、イベントでのファンとの交流を提案したら、選手全員がいらしてくださったのです。

—スポーツは地域貢献や社会貢献という側面もありますよね。

メルカリは地方ユーザーの比率が他のITサービスと比べると高く、メルカリフリマなどのリアルでのイベントも地方で開催するとすごく喜んでいただけます。また、社長の小泉もよく言うのですが、「IT企業も社会的責任や社会に対してできる役割を果たしていきたい。スポーツも社会貢献的な面があるので、それを支援することで、メルカリのブランディングにつなげたい」という点は意識しています。

写真提供:メルカリ

株式会社メルカリ マーケティンググループ 清野圭亮さん