Case: Girls Of Paradise

常に“彼女たちを買う”顧客からの暴力の危険にさらされている売春婦たち。これまでに目を疑うような悲惨な事件が世界各地で数多く起きています。

今回、大手広告会社・McCannパリ支社はフランスのNGO団体・Le Mouvement du Nidと協力し、市民に彼女たちの痛ましい実情を知ってもらうためのキャンペーンを実施。本取組みは政府をも動かすほど、大きな議論を巻き起こしました。

同社が作ったのは、一見売春サービスのサイトのように見える『Girls of Paradise』。

実はこのサイトに載っている売春婦たちは全て、“彼女たちを買った”顧客の暴力により死亡した女性たち。例えば刃物で12箇所も刺されたり、拳で殴打されるなど、想像を絶する悲惨な状況で発見された女性もいるのです。

そうとも知らない“クライアント”は、サイトを見て気に入った女性に電話をかけます。電話に応答したスタッフが伝えるのは、その女性の身に起こった残酷な真実。

まずは、既に彼女が死亡していることを伝えます。そして続けて、その女性が“クライアント”にどのようなことをされて死亡したのか詳細まで伝えます。

聞いていられないほどの悲惨な話に、電話をかけてきた人も思わず「Noooooo??!!!」と絶句。

またチャットで連絡をしてきた“クライアント”には、事件の写真を見せてその悲惨さを伝えます。

電話の件数は、最初の1週間だけでも600件以上。チャットとなるとその数は数千件にも上ります。このキャンペーンをきっかけに、買春をめぐる問題はメディアでも大きく取り上げられるようになり、今年の4月にはついに買春行為を違法とする法律が制定。

まさに買春しようとしているタイミングの“クライアント”たちに悲惨な現状を伝え、事態の深刻さを実感してもらおうというアプローチ。メディアと世論を巻き込み、最終的には国を動かすきっかけにまでなった大手広告会社による社会的啓蒙活動でした。