Case: 佐賀県「サガプライズ!」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。今回は佐賀県によるプロジェクト「サガプライズ!」を取り上げます。

「サガプライズ!」とは、企業・ブランドとコラボレーションして佐賀の地域資産を磨き上げ、全国に佐賀県の魅力を発信。また、活動から得られた知見や手法を地域にフィードバックすることで、“情報発信による佐賀県の地方創生”を目指すプロジェクト。

今回は「サガプライズ!」の前身となる佐賀県の地方創生プロジェクト「FACTORY SAGA」にて実施した、ゲーム「ロマンシング サ・ガ」とのコラボ「ロマンシング佐賀」。そして「サガプライズ!」となって実施した「ロマンシング佐賀2」実現の舞台裏について、サガプライズ! プロジェクトリーダー 佐賀県 統括本部 危機管理・広報課 金子暖さん、サガプライズ!プロデューサー 佐賀県 統括本部 危機管理・広報課 田中裕資さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人

情報発信による地方創生プロジェクト

—これまでの「FACTORY SAGA」「サガプライズ!」での、取り組みが始まった経緯についてお教え下さい。

金子:「FACTORY SAGA」が約2年前に立ち上がり、昨年7月にバージョンアップし「サガプライズ!」となりました。プロジェクトが立ち上がる前は県外への発信を、例えば有田焼のプロモーションなど個々では行っていたのですが、県全体では行っていませんでした。

「サガプライズ!」は情報発信による地方創生プロジェクトを銘打っています。一過性のバズをつくるというよりは、その先、佐賀の魅力をより深く知ってもらう、その手法として様々な企業さんとコラボをしていくという考え方になります。

—「情報発信」に目をつけられた理由は何でしょうか?

金子:例えばアンテナショップを作ったとしても、佐賀県のような魅力度が低い(全国46位)と言われる県の場合は、お客さんが入ってくるのをひたすら待たなくてはなりません。そのように受け身ではなく、プッシュ型で”佐賀”をユーザーの生活に出していく必要がありました。普段のライフスタイルの上にある企業さんやブランドさんと組むことで佐賀との接点を増やしてもらって「なんか最近よく佐賀に出会うな」と、佐賀が生活の中で面として出てくることで、気になったり、その先にある「行ってみよう」という気持ちのきっかけを作りたいなと。

もうひとつは、佐賀の企業さんや職人さんからよく言われるのは「どうやって話題になる商品を開発したらいいかよくわからない」ということです。そこでノウハウを持っている(他の)企業さんと一緒に活動することで、今の市場やトレンドを踏まえるとこうした商品がいいです、という知恵を注入頂けるとよいなという狙いもあります。

東京でイベントを実施し話題化。その後実際に佐賀に来てもらえるような施策を実施

—過去のコラボ施策の中でも、ゲーム「ロマンシング サ・ガ」とのコラボ「ロマンシング佐賀」は、佐賀県の施策の面白さがより広く認知される施策になった印象があります。こちらのきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

田中:「サガ」シリーズが25周年を迎えるという機会に、当初は「サガ」シリーズのキャラクターを使った商品化をしませんかというご提案を頂きました。それを受けて「これはより大きなコラボ事業にしたい」とご挨拶に伺い、お互いの共通項は何だろうと半年くらいお話をし、六本木でのリアルイベントが実現しました。「サガ」シリーズは音楽やストーリーなど、アート的な要素が印象深いゲーム。佐賀県は有田焼などのアート的な伝統工芸品が盛ん。そこで「アート」の要素を融合させていこうとなりました。

イベントの目玉としては、熱狂的なファンも多い(「サガ」シリーズのイラストを手がける)小林智美さんによるイラストの入った有田焼を作り、展示し、販売しました。他にもゲームのパッケージを模した箱に、佐賀の海苔やようかんなどの入った800円のセットを販売したのですが、こちらは約1,300個売れました。

金子:これを購入した方が、そのようかんのお店をその後訪れたりと、佐賀との接点を作っていくいわば象徴的なボックスです。

—東京での「1」に続き、佐賀県での「2」もやろうという話は早くからあがっていたのでしょうか?

田中:2014年3月に六本木でのイベントを実施後、佐賀でもやらないんですかという声も多く頂きました。当時は「FACTORY SAGA」として佐賀県外で情報を発信するという役目だったので、佐賀県内での観光施策を実施しているおもてなし課に引継ぎ、東京での話題化から、実際に佐賀に来てもらえるような施策をしましょうということになりました。

大きな施策はラッピング列車です。「サガ」が自由気ままに旅をするゲームなので、そんなイメージで佐賀でも楽しんで頂けたらいいなと。また同時並行で東京でも、「サガ」シリーズに出てくるキャラクターがそれぞれ山手線の駅名をもじった名前になっているので、そのそれぞれの駅にポスターを掲示して話題化を図りました。

—Jリーグのクラブ・サガン鳥栖ともコラボして「ロマンシング サガン」という試合日のイベントも行われて、ネットでも話題になっていた印象があります。対戦相手がFC東京ですが、やはり首都圏から来るサポーターの見込みもあってというところでしょうか?

田中:FC東京のサポーターの方々は、佐賀のスーパーでよく売っている惣菜「ミンチ天」をよく買っていかれるのですが、実は六本木での「ロマンシング佐賀」イベントの時も販売して、サポーターの方を中心によく売れたんです。BEAMSさんとコラボした移動式アンテナショップで「ミンチ天バーガー」を出したときも行列が出来て、やはりミンチ天の力は強いなと感じたんですね。そこで試合の演出などはもちろん、今回も特製パッケージのミンチ天をスタジアムで販売したりしました。

—「1」「2」を総括してみて、いかがでしょうか?

田中:いきなり佐賀県でイベントを実施しても、県内や近隣の方にしか広がらないことも有り得ます。ならばまずは東京で話題になるようなイベントを実施し、足を運んでくれる方はもちろんメディアを通して全国にそのニュースを広げ、その後に佐賀県でやろう、という順番の方が行動に移してもらえるのではと考えています。
そういったサイクルがあると「ロマンシング佐賀」で感じることが出来ました。その後「FACTORY SAGA」を情報発信だけではなく、発信した情報を地元・佐賀県にフィードバックしていくサイクルを作る事業「サガプライズ!」に昇華させようということになりました。

—ゲームとコラボすることは、固定ファンが多いというメリットもありますか?

田中:ゲームファンの方はネットとの親和性も強いので、拡散力も強いです。面白いと思ったものをすごく書いてくれたり、拡散してくれたりするので、すごく有難いです。

[後編では「サガプライズ!」による今冬のプロジェクト、ゲーム「スプラトゥーン」とのコラボ「Sagakeen(サガケーン)」を取り上げます]


サガプライズ! プロジェクトリーダー
佐賀県 統括本部 危機管理・広報課
金子 暖さん(右)
サガプライズ! プロデューサー
佐賀県 統括本部 危機管理・広報課
田中 裕資さん(左)