Case: キリンビバレッジ「午後の紅茶」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」のスピンアウトとして、特に「広告」や「企業」と「音楽」の関係について掘り下げる連載「MUSIC IN ADVERTISING」。

今回は2015年3月よりOAされているCMに、2007年2月リリースの嵐「Love so sweet」がCMソングとして使用されている、キリンビバレッジ「午後の紅茶」を取り上げます。なぜ、今あえて少し懐かしさを感じるこの曲を使用することにしたのか(筆者も思わず学生時代を思い出し、CMが流れた瞬間耳を傾けてしまいました)。その理由を、キリンビバレッジ株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 宣伝室 主任 二宮倫子さんに伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人 (Takato Ichiki)

様々な候補曲から「Love so sweet」に決まるまで

—まずは、このCMの狙いについて聞かせてください。

「午後の紅茶」は1986年に誕生して今年、30年目を迎えました。今期のCMはその節目に、原点に立ち返りかつ新鮮なイメージで、もう一度紅茶に注目を集めたいという目的がありました。

紅茶カテゴリの中ではNo.1ブランドではあるのですが、炭酸飲料や果汁飲料など様々な飲料がある中で、紅茶はともすれば忘れ去られがちといいますか、みんな飲んでいるけれど…という飲料になってしまいがちです。そこで改めて「紅茶って良いよね」と思って頂きたいなという狙いです。

紅茶の他の飲料と違う特徴はやはり華やかな香りなので、大人の女性にまさに移り変わろうとしているような3人のタレントさん(早見あかりさん・大原櫻子さん・季葉さん)を起用し、紅茶の香りとリンクするようなCMを始めました。

—このCMのターゲット層は。

紅茶は幅広い世代に飲んで頂いている飲料ですが、今回メインとしたのは20-30代の女性です。
彼女らに「紅茶を飲んでいる女子って素敵」と思ってもらい、日常から紅茶を楽しむ「紅茶女子」を増やしたいと考えました。大人っぽくて、オシャレで、会社に入ったばかりの新入社員から憧れられるような、そんな素敵な女性をイメージしています。

—ということは、やはりその世代に響く曲としての「Love so sweet」でしょうか?

そうですね。「みんなが知っている曲」で、なおかつ「青春時代に紅茶を飲みだした頃の甘酸っぱい記憶が思い出されるような曲」として選ばせて頂きました。香りで気持ちをアゲてくれる、生活に彩りをもたらしてくれる、そんな紅茶のイメージに近い「高揚感のある曲」という点もありましたね。


—やはり決まるまでは、様々な候補曲があったのではないですか?

洋楽邦楽問わず本当に幅広く、ですね。「Love so sweet」は当時の思い出を呼び起こしてくれるとともに、今聴いても新鮮な、いつまでも鮮度のある曲だなと思いました。「午後の紅茶」も、そういう存在でありたいですし。

—選曲にあたって、社内のチームの中ではどんな話をされていたのでしょうか?

たまたまなのですが、「午後の紅茶」チームは私を含めて商品と同い年世代が多くて、(「Love so sweet」を覚えていて)ここは結構共感ポイントだったかなと思います。上司は50代なのですが、やっぱりちゃんとこの曲を覚えているし、みんな納得感がありました。
また、タレントさんがネクストブレイクと言われる方々ということもあるので、曲の方は王道感を出したいなとも考えました。

CM自体も「音楽」への評価も高かった

—消費者の反応はいかがですか。

事後調査を実施したところ、CM自体も好評でしたし、様々な要素の中で最も高評価を頂いたのは「音楽」でした。ターゲットは20-30代女性ですが、結果的には老若男女問わず親しんで頂いています。また、嵐さんが出演せず曲だけということも意外性があったようです。

—商品の売上げも好調ですか?

リニューアルやCMの効果もあり、先月は前年を上回る販売でした。

—今後のCM展開については。

引き続きこの音楽・タレントさんを起用したCMを展開していきたいと考えています。今年だけとは言わず、長きに渡って、商品も広告もお客様から愛されるものに育てていきたいです。

キリンビバレッジ株式会社
マーケティング本部
マーケティング部
宣伝室
主任
二宮倫子さん