Case: ヤマト運輸「宅急便コンパクト」「ネコポス」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は3月末〜4月初旬の一週間程度、東急東横線・渋谷駅構内に期間限定で登場したヤマト運輸の広告を取り上げます。新サービス「宅急便コンパクト」「ネコポス」の開始に合わせて、毛並みの触感や目や鼻などの立体感など、”モフモフ”出来る広告として話題になりました。この広告の実施の理由をヤマト運輸株式会社 広報戦略部 広報戦略課 スーパーバイザー 服部亮太さんに伺いました。

Interview : 石原 愛美(Aimi Ishihara)/Text : 市來 孝人 (Takato Ichiki)

ターゲットが定まっていた新サービス。訴求方法を変えるテストとしての側面も

—この交通広告の実施の狙いについて聞かせてください。

小さな荷物を専用ボックスで送れる「宅急便コンパクト」、 小さな荷物をポストにお届けする「ネコポス」という、4月1日にリリースされた二つの新サービスの認知を目的として展開しました。

マス広告も展開しましたが、今回のサービスは「小さい荷物を送れる」という特徴が有り、これはフリマやオークションなど個人間で安く買いたいという、特に20-30代男女のニーズを踏まえたサービスです。ならば今回は、若い人達がSNS等でシェアをしてくれるような広告を実施してみようと。

—こういったターゲットを絞った広告展開は、これまでもありましたか?

あまりなかったですね。それはやはりターゲット層の違いです。通常の「宅急便」はやはりオールターゲットで広く使ってもらいたいサービスですから、具体的なターゲットに対する広告は展開してきませんでした。今回の新サービスはターゲットが定まっていたので、訴求方法を変える一つのテストとして実施してみました。

—“モフモフ”のアイデアが出たのはどのような経緯からですか?

OOHや交通広告ってどうしてもその場所の景色にとけ込んでしまいがちなので、そこを通った人がちゃんと気づいてくれる・インパクトがある・シェアしたくなるものにしたいねという話をしていました。例えば壁面まで使ってトリックアートのようなものをする等、色んな案が出たのですが、今回はネコをメインにしたかわいいものにしてみました。

広告に「飼い主がいる!」という評判も

—制作でこだわられた点は。

毛の部分は顔のどの部位も素材は一緒なんですが、ひげの部分や鼻の部分はちゃんと堅い素材感で表現しています。ちなみに目なのですが、通常のCM撮影などでは照明が強いのでどうしてもネコはとんがった目になってしまいます。今回はより優しげな目になるようにという点は意識して作りました。

—ブラッシングをする方がいることも話題になっていましたが…

管理とメンテナンスの為に人を立てることにしたんですよ。するとその方が気を遣ってブラッシングをしてくれて、「飼い主がいる!」という評判になったんです(笑)。

—渋谷駅で実施したのは、やはり駅の利用者とターゲットが近いからでしょうか。

そうですね。交通広告は渋谷・六本木・有楽町・大阪・梅田の各駅で実施しました。渋谷についてはハチ公前のビジョンなども使い、集中的に展開しましたね。また六本木では、エスカレーター中はスマホをいじらない傾向があるというデータがあったので、大江戸線の六本木駅の長いエスカレーターを活用して広告を展開しました。

—実施中の反応はいかがでしたか?

ターゲット層はもちろん、お子さん連れの方が写真を撮ってくれたり、外国人の方も珍しがって写真を撮ってくれていたりしましたね。通常マス広告が中心なので、こういったターゲットを絞った広告に対してどこまで反応があるかも分からない状態でしたし、1万ツイート程度あれば良いかなと思っていましたが、掲載中の一週間+その後の一週間の計二週間で、約3万の関連したツイートがありました。

「これってヤマトの新サービスの広告で出てたみたいだよ」というツイートもあったので、サービスの認知にも一定の成果はあったなと感じています。今後も、普段のマス広告を展開する一方、今回のターゲットに対してのメッセージの訴求の仕方は模索していきたいなと考えています。

—ちなみに、あれだけのクオリティの広告が一週間限定なんて勿体ないですが、今はどこかに保管されているのでしょうか…?

はい、今は物流ターミナルの「羽田クロノゲート」の中にありますよ。

ヤマト運輸株式会社
広報戦略部
広報戦略課
スーパーバイザー
服部亮太さん