Case: “プレスリリース”と“ニュース”を使い分けるパナソニックのPR活動

オウンドメディア、ペイドメディア、アーンド(ソーシャル)メディア。パナソニック株式会社はこれら3つのメディアの特性を意識し、従来から発信していた“プレスリリース”以外に、これまで社内で埋もれていた“ニュース”も広報することで、社外に発信する情報量を以前の2~3倍ほどに増やしています。

「あまり注目されていなかった商品・サービスにも取材が入るようになった」「各部門が主催するイベントへの事前登録者数が底上げされてきた」など、劇的ではなくても着実に成果が出てきている同社の取り組み。どのようにオウンドメディアとペイドメディア、“プレスリリース”と“ニュース”を使い分けているのか、同社ブランドコミュニケーション本部の工藤里衣氏に話を聞いてきました。

 

“プレスリリース”に含まれない、社内で埋もれていたニュースも世に届けたい

――工藤様は、従来からの広報とは違う業務に取り組んでいると伺いました。

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 グローバルコミュニケーショングループ デジタルコミュニケーションセンター 工藤里衣主事

“パナソニックのプレスリリース”として発信する情報について、当社には厳正な規定が存在します。新商品・サービスの情報や会社を挙げたイベントのお知らせなどは“プレスリリース”として発信できますが、各事業部が開く小規模なイベント情報などは“プレスリリース”に含まれません。

そうした情報は、これまでコーポレートサイトの片隅に載せるくらい。わざわざ当社サイトを訪れてくれた一部の方には見ていただける可能性があっても、広範囲には拡散できなかったのです。

そうなると、受け取る人にとって、とても素敵なお知らせになる“ニュース”があっても、あまり世に広められないこともありました。

企業が何でも情報発信できるようになった今の時代、このままでは機会損失が多くなるだけだと感じていました。

今の時代は、消費者側が膨大な情報の中から自分の見たい情報を選びます。それなのに、企業側が表に出す情報を吟味していては、見込み客との接触機会を損なうだけです。企業としてはオンライン上にできるだけ多くの情報を出しておいて、接点を持てる可能性をできるだけ高くしておくべきだと私は考えました。

そんな思いから会社に働き掛け、これまで埋もれていた“ニュース”も、外部に配信していく取り組みを始めました。公式の“プレスリリース”とは違い、記者クラブに投函しませんし、コーポレートサイトのプレスリリースページに掲載することもありません。ですが、プレスリリース配信代行サービスを利用して、記者向けに情報を流し、大手メディアのプレスリリースをまとめたコーナーに転載してもらうことで、より多くの人の目に触れるように情報発信する取り組みも始めたのです。

情報発信量が2~3倍に。小さな変化だが、成果も感じられるようになった

――埋もれていた“ニュース”も発信するようにしたことで、貴社から配信される情報量はどれくらい増えたのでしょうか。

毎月配信する“プレスリリース”の本数は、20~30本ほどです。プレスリリース配信代行サービス経由で、 “プレスリリース”を含めて毎月50~60本ほどのニュースを発信していますから、表に出せる情報量は2~3倍に増えたことになります。

――情報発信量を増やした成果は?

Webでの情報発信は、目に見えて売上を増やす力にはならないものです。それでも長期的に見れば、間違いなくプラスに働くものだと考えています。

例えば当社の場合、これまでどんなにがんばってホームページをリニューアルしたり、コンテンツを充実させたりしても、なかなか問い合わせにつながらなかった商品・サービスがありました。それがプレスリリース配信代行サービスで“プレスリリース”以外の情報も発信するようにしたところ、取材の依頼が入るなど、さまざまな反響を得られるようになりました。

他にも、事業部が開くイベントへの事前登録が、以前よりも増えてきたという声もあります。小さな変化ではありますが、これまでなら埋もれていた情報を表に出すようにしたことで、確実に効果が現れてきたと感じています。

オウンドメディアに訪れない層にも情報を届けるため、ニュースメディアを活用

――以前は貴社のコーポレートサイトの片隅に“ニュース”を載せていたとのことですが、それでは不十分だったのでしょうか。

パナソニックのファンではない人、パナソニックのことを日常生活の中で意識していない人が、当社サイトを訪れてくれることは残念ながらあまりないでしょう。

けれど、そうした人たちにも情報を届けるルートを用意しておくことが大切。プレスリリース配信代行サービスを利用すれば、大手メディアにも“ニュース”が転載されますし、記事として取り上げていただける可能性もあります。それだけ多くの人の目に触れる機会が増えるわけです。

「多くの人に届けたいなら、ソーシャルメディアでいいじゃないか」と考える人もいるかもしれません。でも、ソーシャルメディアでビジネスアカウントを作成して情報発信しても、本質的にはオウンドメディアと大差ありません。「パナソニック発の情報」では当社のことに興味を持っている人しか見てくれません。「ニュースメディア発の情報」として届けて、普段は「パナソニック発の情報」を見てくれない人にもアプローチすることが重要なのです。

『“社内営業”で各部署に働き掛け、発信できる情報が自然と集まる流れをつくる』
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