Case: Web上で生放送授業を無料受講できる「schoo WEB-campus」のPR活動

スタートアップ企業にとって、自社の知名度を上げて新規ユーザーを獲得していくためにも、広報活動は重要です。けれど、なかなか広報経験者を採用する余裕はなく、未経験の新人広報がその役割を担うことも多いのではないでしょうか。

Web上で生放送授業を無料受講できるサービス「schoo WEB-campus」(以下、スクー)の広報も就任したばかりの広報担当者に任されています。

同サービスは、2011年12月にβ版をローンチしたばかりにもかかわらず、2014年7月時点で学生数は9万人を超え、これまでに1000 以上の授業を配信してきました。スタートアップ起業家からWEBデザイナー、マンガ家、落語家といったさまざまなジャンルの第一線で活躍する人を「先生」として招き、生放送授業を開講。無料で受講している学生たちはリアルタイムで先生に質問をぶつけたり、学生同士でコミュニケーションを取ったりしながら学んでいくサービスです。

そんなサービスを運営するスタートアップ企業・株式会社スクーで広報担当を務めるのが田中伶氏。コンテンツディレクターとして新しい授業を企画する傍らで、広報業務にも携わっています。

広報としての業務経験がまだ5カ月ほどしかないという田中氏ですが、サービスの知名度を上げて新規ユーザーを増やしていくために、どのような工夫をしているのでしょうか。同社の広報活動について、話を聞いてみました。


斬新で面白い授業の企画こそが、一番効果的な広報活動

――貴社の事業内容と、広報部の体制について教えてください。

株式会社スクー 田中 伶氏

当社は「世の中から卒業をなくす」をコンセプトに、各界で活躍されている起業家や編集者、WEBデザイナーといった方々を先生として招き、オンライン上で生放送授業を受けられるサービスを提供しています。

当社にとっては、より多くの人が「受講してみたい」と思ってくれるような素晴らしい授業を企画して実現することこそ、一番効果的な広報活動になります。ですから広報担当の私としては、注目を集められそうな授業をプレスリリース配信して告知する際に、漫然と「お知らせ」にあたるプレスリリースを作成するのではなく、「この授業はどういった点が新しいのか?」と私なりに考え、工夫しながら情報発信することを心掛けています。

コンテンツそのものがニュースになることが多いことから、どんなことをするにしても、広報だけではなく全員で力を合わせながら進めていく文化が当社にはあります。例えば、毎朝の全社朝会では、新たに企画された授業の内容、前日の授業の受講者数といった指標についてすべて共有しています。そうした全社会議を通じて、どういったコンテンツが注目を集めやすいかを全員で把握していますね。

また、会社として力を入れている授業を発表するときには、広報担当の私だけでなく、コンテンツディレクターや、授業を受け持ってくださる先生まで巻き込んで、PRのやり方を一緒になって考えることが多いです。そのような取り組み方をしているのが、当社広報活動の特徴だと思います。

新規受講者獲得だけでなく、アカデミックな世界での認知度アップも広報の狙い

――広報として、どのような点をゴールに置いていますか?

広報部として、重視しているのは大きく2つあります。1つは、新規受講者を増やすため、新聞やテレビといったマスメディアに広く取り上げてもらうことです。もう1つは、アカデミックな分野でも当社の存在感を増していくため、大学の先生方から注目していただけそうな情報を積極的に発信していくことです。

前者の成功例としては、ヤフー株式会社の川邊健太郎副社長COOに先生役を務めていただいて、1時間丸ごと質疑応答の時間に充てた授業が挙げられます。経営のこと、Webサービスのことなど、生放送で何でも受講者からの質問に答えていただけるという内容でした。4000人の受講者が集まったこの生放送授業で、新規受講者もかなり増えましたね。先生が「スクーで授業やります!」とソーシャル上で発信してくださることも大きいです。こうした魅力的な授業をもっと企画して、広報していくことで新規受講者獲得につなげていきたいです。

後者に関しては、東京大学の提供する全学教育プログラム「東京大学i.school」と提携し、これまで選考に合格した東大生しか受講できなかったイノベーション養成カリキュラムをスクー上で開講した事例などが該当します。

この企画は、広報としても手応えの感じられるものでしたね。

「東大の授業を無料で受けられる」ということで新規受講生が増加したのは大きな成果でしたし、それ以上に東京大学とのコンテンツ提携という「実績」ができました。当社は今後も、大学とのコンテンツ提携を積極的に行っていきたいと考えていますので、スタートアップである私たちにとっては大きな後押しになると思います。

東大とのコンテンツ提携後、法政大学 キャリアデザイン学部とのコンテンツ提携も決まりました。こうした大学との取り組みをより多くの大学関係者に知っていただくためにも、広報活動に力を入れていきたいですね。

メディア関係者と面識を広め、特集記事でも取り上げてもらえるように

――田中様が広報担当として参加されることで、貴社の広報活動はどのように変わりましたか。

私が広報担当になるまでは、代表が1人で広報も担当していました。さまざまなイベントに登壇してサービスについて発信したり、PR TIMESを通じてプレスリリースを配信したりしていました。

ただ、もちろん代表としての業務が最優先ですから、どうしても手が回らないところもあります。メディアに取り上げられサービスが話題になるにつれ、取材の対応も増え、優先順位をつけなければいけないことが増えました。

そこで私が広報担当になりまして、まずメディア関係者との関係をしっかり広めていこうと考えました。テレビ関係者や新聞記者が集まる交流会や勉強会に積極的に参加するようにしましたね。そうした場所でメディア関係者と面識を広めておいて、プレスリリースを配信する前にあらかじめ一報を入れておくようにしたり。1度顔を合わせてごあいさつをして、しっかりサービスについて理解してもらえているからこそ、記事として取り上げてもらえる確率がずいぶん上がりました。

さらにメディア関係者とつながりができたことで、プレスリリースを配信したとき以外にも、例えば「オンライン教育」のニュースを取り上げるときには事例としてメディアで紹介してもらえる機会が増えましたね。

今、まさにオンライン教育が世間で注目されていることもあって、1度接点のあった記者の方からは「業界全体の展望や同業他社の動向について教えてほしい」と電話取材を受けたり、「特集記事で取り上げたいので、コメントをもらえないか」と依頼されたりするようになりました。

まだ当社はスタートアップの段階にありますから、今後ますます知名度を上げていく必要があります。特集記事などで取り上げていただけることは、願ったり叶ったり。そうした機会が生まれるようになったのも、日頃から地道にリレーションを築いてきた成果の1つだと思います。

『スタートアップ企業にとっては、広報の役割はとても重要』
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