Case:Creative advertisement using iPad

2010年に発売された当時、世界中に衝撃を与えたiPad。4年が経った今では世界各地で大勢の人が、日々の生活で当たり前のように利用するデジタル端末に成長しています。

それに伴い、広告/プロモーションの手法もiPadの特性を活かしたものが開発され、アプリやAR技術などと絡めたケースなど、今後もさらなる可能性が期待されます。

今回は、iPadの特性を最大限に活かしたユニークなデジタルプロモーションをまとめてご紹介します。

1.iPadユーザーが凍りつく、デバイス特性を活かした電子雑誌のインタラクティブ広告


[国名:ブラジル/企業名:Bradesco Seguros Insurance]

ブラジルの自動車保険「Bradesco Seguros Insurance」が自動車雑誌のiPad版に出稿した広告。

iPadで電子版のマガジンを読むと、ページ送りは当然指でスライドすることになります。何枚もスライドしていくと、かっこいい自動車が全面に写ったページが現れます。

このページから次のページへと、何の気なしに右から左に同じようにスライドすると、なんと車体がディスプレイの左端に衝突して、車のボンネットがひしゃげてしまいます。

すかさず画面には保険会社のロゴとともに、「あなたの不注意で予期せぬ事故が起こります。そんなときのために自動車保険で適切なプランにはいりませんか」というメッセージが表示されます。

iPadというデバイス(メディア)の特性と、人間の行動を逆手に取った見事なインタラクティブ広告です。

2.画面からは消せても、人権問題はなくならない。現実から目を背けないでください。


[国名:ドイツ/団体名:Amnesty International]

人権保護団体「Amnesty International」が、ドイツの新聞「Die Welt」の電子版に掲載した広告です。

iPadでDie Weltを開くと様々なジャンルのニュースが表示されていますが、指をスライドしてページを移動していくと、突然頭に袋を被せられ、両手を縛られた(拷問されているであろう)男性の写真が現れます。

ページをめくろうと指を動かしても、なぜか次のページに遷移することができません。読者が「あれ!?」と思っていると、画面には「人権を踏みにじる拷問は、私たちがアクションを起こさない限り、なくなることはありません。」と表示されます。

世界のどこかで起こっている、悲惨な事実。できることなら目を背けてしまいたいところですが、ページをめくってiPadの画面上から消しても、問題が解決するわけではありません。現実に起きている事から目を背けないで下さい、というメッセージを、意表を突いた方法で訴えかけています。

3.iPadの“スクリーンショット”機能を応用したaudiの斬新なデジタル広告


[国名:ブラジル/企業名:audi]

ドイツ自動車メーカー・アウディによる、同社ラインナップの中で最もスピードが出るスポーツクーペ「audi R8」を訴求するためのiPadを活用したデジタル広告。

電子雑誌に出稿されたこの広告は、iPadでページをスライドさせていくと、殺風景な高速道路が写ったページに辿り着きます。すると、ポップアップで『audi R8を見てみたいですか?iPadのホームボタンとスリープボタンを一緒に押してR8の写真を撮影してみてください』と表示されます。
※iPadやiPhoneでホームボタンとスリープボタンを同時に押すと、スクリーンショットが撮れる機能を活かした仕様です。

右下のボタンを押すと撮影タイムがスタート。道路の左から猛スピードでaudi R8が疾走して来るのに合わせ、“ココだ!”と思ったタイミングでホームボタンとスリープボタンを一緒に押して、スクリーンショットを行います。

見事車体がフルに写っているタイミングでスクリーンショットされた写真の上部には、“New Audi R8. Audi’s design and technology,at 320km/h”と表示されているという仕掛けが施されています。

撮った写真はユーザーのフォトアルバムに自動的に保存される、つまり『audi R8の広告イメージを、一度見て終わらせるのではなく、ユーザーのフォトアルバムに残せる』ということを狙った、非常にクレバーなインタラクティブ広告です。

4.日産、業界初の“塗装復元技術”を訴求するiPad広告


[国名:フランス/企業名:Nissan]

日産自動車には、ボディに細かいキズがついても、時間が経過するとともにほぼ元の状態に復元されるという業界初の塗装技術「Self Healing Paint」(スクラッチシールド)が備わっています。この最新テクノロジーを、一風変わった角度からターゲットに訴求するためにiPadの電子雑誌を活用しました。

ユーザーが経済誌・The Economistのページを指でめくっていくと、フェアレディZの車体が大きくうつった広告が登場します。さらに次のページを見ようと、読者がスワイプすると、「ギーッ」という音声とともに車体に擦りキズがつきます。妙だと思って、もう1度スワイプすると、さらにキズが。

ところがこの2つの傷は数秒経過すると消えてしまい、同時に「Now with self-healing paint」という文字が映し出されて、読者に種明かしをするという仕掛けでした。

iPadの特性である“スワイプ機能”とユーザー心理を巧みに活用した広告ですね。

5.世界初!静電インクを用いた音楽プレイヤー

[国名:日本/企業名:大塚製薬]

健康飲料「ポカリスエット」が、音楽ファンに向けて企画した「POCARI MUSIC PLAYER」。こちらはiPad連動型のデジタル雑誌広告で、“静電インク”という特殊な印刷技術が使用されています。

具体的には、雑誌「Switch」に掲載されたポカリの広告ページより、レコード型のカード(紙)を切り取ってiPadの液晶画面に載せると、様々な音楽を呼び出すことができるというもの。

音楽を再生するには、iPadで「POCARI MUSIC PLAYER」特設webページにアクセスし、液晶画面上の“ターンテーブル”に切り取ったカードを載せると、液晶パネルと反応して、自動的に楽曲とミュージックビデオが再生される、という仕組みです。

FUJI ROCK FESなどに代表される“4大夏フェス”に協賛するポカリスエットが提供する、これまで体験したことのない新しい「音楽スタイル」となっています。

6.iPad利用者の心理を逆手に取った、腹落ち感がハンパない広告


[国名:ブラジル/団体名:Action Aid]

貧困撲滅に向けた活動に取り組む世界的なNPO団体「ActionAid」が手掛けたiPad広告。ユーザーがiPadで電子雑誌をスライドしていくと、みすぼらしい場所にたたずむ黒人の子供が、何故か逆さまの状態で表示されます。

「あれ、なんかおかしいな~~」ということでiPadを縦に持ちかえても、直ぐに逆さまの状態に戻ってしまいます。更にはもう一度横に持ち替えても、やっぱり表示が逆さまになってしまいます。

しかし、その直後に、急に反転して正しく表示され、そこには、「貧困とはまさにこのような状態と同じ、そこから抜け出すことは簡単ではありません。こちらをタップして、この問題の解決にご協力ください」というメッセージが表示されます。

iPadの加速度センサー(傾きセンサー)のようには、“貧困に苦しむ人々を簡単に助けだすことはできない”ということを、iPadのデバイス特性とそれを利用するユーザーの心理を前提として、直感的に伝える広告です。

7.高級車「レクサス」、iPadと重ねることで真価を発揮する超絶クールな雑誌広告


[国名:USA/ブランド名:Lexus]

トヨタの高級車ブランド「レクサス」による雑誌広告。この広告ページには、「シネプリント」という技術が用いられており、ページの裏側にiPad(の対応するページ)をしくと、ページと連動する専用のコンテンツが起動して、クールな演出をページ上で見られるという仕掛けが施されています。

具体的には、ページに映っているレクサス・ESのヘッドライトが点灯したり、室内の内装が透けて見えたり、タイヤが猛スピードで動いて走行しているようにみえるといった、レクサス・ESの躍動感や華やかさを演出するような効果が次々とあらわれます。

演出効果に合わせて音楽も流れるようで、まさにiPadと組み合わせることによって真価を発揮する新しい形態の雑誌広告と言えそうです。

8.自分で動かす広告!? タブレット利用者の行動を逆手に取ったデジタル施策


[国名:USA/企業名:FedEx]

アメリカのマイアミで実施されたタブレット内広告をご紹介。クライアントは世界的な規模で展開している物流サービス会社のFedExで、「フェデックスの配送ならこんなに速く届きます」というメッセージを訴求することが狙いです。

一般的にタブレットで広告に遭遇した時、人々はそれをすぐにフリップして飛ばしてしまうもの。今回はその「すぐに」にという点に着目して、“配送の速さ”を伝えることにしました。

ユーザーが広告をいつも通りにほぼ見ずに流していると…突如フェデックスの広告がでてきます。他の広告同様に、それを飛ばそうとすると、手前にうつっている配達員の手と荷物はそのまま残ったまま、背景だけがフリップされて変わる仕組みに。

コピーは、“That fast.(こんなに速いんです。)”普通にページが流れて行く中で、こういった仕掛けがあると非常に目に留まるものとなりますね。

9.iPadの特性を最大限生かした、家庭内暴力反対を訴えるインタラクティブ広告


[国名:ドイツ/団体名:Frauen Gegen Gewalt]

WHOによると、ドイツでは4人に1人の女性がパートナーからの肉体的な暴力に遭った経験があるといいます。家庭内暴力に苦しむ女性を支援する団体「Frauen Gegen Gewalt」はこの現実を女性達自身に認識してもらい、同団体の活動に協力してもらうよう呼び掛けるための広告を企画しました。

雑誌“Vogue”のiPad版に出稿した広告には、スタイリッシュなモデルの写真が掲載されています。ページをスライドしていくと、ポーズをとるでもなく真正面を向いた女性が現れます。

こちらのページも同様に右から左にスライドすると、突如『バシッ!!』という効果音とともに、女性が思いっきりビンタをされたようにフレームから外れてしまいます。

一拍おいてフレームに戻ってくると、彼女の顔には痛々しい暴力の跡が刻まれていて、最後に彼女の顔にかかるように支援を呼び掛けるメッセージが流れるという仕掛けです。

スライドとビンタ(暴力)を結び付ける発想がすごい!デバイス(メディア)の特性を十分に生かしたドキッとするインタラクティブ広告です。

10.ゲームを体験することで“乳がんの自己診断プロセスをマスターできる” iPad広告


[国名:マレーシア/団体名:ational Cancer Society of Malaysia]

マレーシアの国立がん学会が、毎年10月に設定されている「乳がん月間」に合わせてiPad用の電子雑誌(女性誌)に出稿した、インタラクティブな広告を紹介します。テーマは、『Prize Of A Lifetime(寿命が賞品)』。

この雑誌広告は、誌面で紹介される簡単なゲームを通じて、読者の女性自身が『乳がんを早期発見するための自己診断プロセスを一通り体験できる』という仕掛けが施されています。

ゲームはとてもシンプルで、「Start」から「End」の位置まで指を押してマークをスライドするだけ。上手くできたら点数が入ります。各コースの真ん中にあるピンク色の丸は乳首をイメージしています。

3つのステージをクリアすると「たったいま乳がんの自己診断が完了しましたよ」と画面に表示され、種明かし。(もちろんゲームで行った指でコースをなぞる動作を自身の胸で行った場合ですが)

続いてのページで、「マレーシアでいかに多くの女性が乳がん発症のリスクがあるか」、「乳がんの早期発見のためには自己診断がいかに重要なことであるか」といった点が説明されます。そして、より詳細な自己診断法について理解してもらうよう促す流れになっています。

11.ボルボ、iPadを活用して「衝突回避テクノロジー」を訴求


[国名:イスラエル/企業名:Volvo]

安全性に定評のある自動車ブランド・ボルボが、イスラエルで実施したデジタル施策。iPadで画面をスワイプしていくと、住宅地の道路を背景に「スクリーンのこの辺りに指をおいてみて」というメッセージが表示されます。

言われた通りその位置に指を置いてみると…画面右側から自動車が走行してきますが、指の直前でピタリと停止します。

そして画面にはメッセージが。“City safety by volvo. Collision avoidance technology(衝突回避テクノロジー)”。“ボルボの衝突回避テクノロジーが如何に有効なのか”を、iPadを活用した簡単なアトラクションを通じて端的に訴求しています。

ちなみに、スクリーンのどんな位置に指を置いてみても、左右からきた車は直前でストップするように設計されているそうです。ユーザーの「指」を、突如自動車の前に現れる歩行者に見立てたユニークな企画でした。

12.“傷の痛みを忘れさせてくれる” バンドエイドの心躍るARプロモーション


[国名:USA/ブランド名:BAND-AID]

ジョンソン・エンド・ジョンソン社が製造・販売しているガーゼ付き絆創膏ブランド「BAND-AID」による、子供をターゲットにしたARプロモーション、「Magic Vision」。

ディズニーの人気キャラクター、「マペット」柄の特製「バンドエイド」をiPadでスキャンすると、AR技術により「バンドエイド」からディスプレイにカーミット(カエルのマペット)が飛び出してきて、子供を楽しませてくれるという仕掛けです。

マペットのキャラクター毎にバンドエイドがあり、カーミットがブランコに乗ってギターを弾いてくれたり、ミス・ピギーがレッドカーペットで写真を撮ってもらえるようにポーズをとったりします。この仕掛けに子供たちはみんな大喜びではしゃぎ放題。

「バンドエイド」を使用するシチュエーションは、子供にとって傷ができて痛くて、気分がへこんでいる時ですが、そんな時に大好きなディズニーの楽しいキャラクターがバンドエイドからARで姿を現してくれることで、ワクワクして痛みを忘れさせてくれるというコンセプトです。

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