Case:Donate Blood Campaign

私たちが最も身近に参加できるボランティアの一つである『献血』。人の命に関わる事柄だけに、できるだけ多くの人にその重要性を伝えることが必要です。

「献血を呼びかける」という一つの明確なテーマに対し、様々なアイディアや工夫を凝らした、私たちの心に“刺さる”世界の広告事例をピックアップしてお届けします。

1.献血を促す新聞広告 「小さな穴」がもたらす「大きな決断」


[国名:ブラジル/団体名:Hemorio]

人々に献血への参加を訴えかけるためにブラジルの慈善団体「Hemorio」が制作した、少し変わった新聞広告。

紙面に新聞紙の全ページを貫く小さな「穴」をあけたのです。とても小さな穴なので、もちろん新聞を読むには何の支障もありません。そして読み進めていくと、最後のページには「人の腕」がプリントされていて、穴は肘の内側あたりにきています。

つまり、「新聞に小さな穴をあけても大した事ではないように、あなたの腕にほんの小さな穴を(献血によって)あけても大丈夫ですよね?」=「あまり身構えず、気軽な気持ちで献血に来てください」ということを表現しています。

この広告は新聞やネット上で大きな話題となり、「Hemorio」が企画した献血イベントの参加者は例年の4倍に上るなど、目覚ましい成果をあげました。

2.「献血をすれば、あなたも誰かのヒーローになれる。スパイダーマンのようにね。」

[国名:ギリシャ/団体名:Hellenic Association of Blood Donors]

ギリシャの慈善団体「Hellenic Association of Blood Donors」によるプリント広告です。

スパイダーマンらしき腕から伸びているのは、クモの糸…ではなく、医療用のチューブ。その先は血液バッグにつながっています。

右上にあるコピーは、“You can be someone’s superhero!”。「献血をすることで、誰かの命を救うことができる。つまり輸血を受けた人にとって、あなたはスーパーヒーローなのです。」という事を端的に表現しています。

3.ブラジルのフットボールクラブ、ファンの『クラブ愛』を活かした献血キャンペーン


[国名:ブラジル/企業名:EC Vitoria]

ブラジルのプロフットボールクラブ「EC Vitoria」が熱狂的なファンを対象に、献血を促すために仕掛けたユニークなプロモーション。(地域・市民に支えられているフットボールクラブだけに、市民のためになるCSR活動の一環です。)

今回のプロモーションの核となるのは、クラブの象徴的な存在である“ユニフォーム”。「EC Vitoria」は伝統的に黒赤の横ストライプのユニフォームを着用してきましたが、シーズンのはじめに突如黒白のストライプのユニフォームに変更しました。

このユニフォームの変更は、『ファンが献血してくれる量に応じて、黒白のストライプが一年間を通じて徐々に元のユニフォームの黒赤へと戻っていく』という企画のためのもの。ファンからある一定の献血がなされることで、一段ずつストライプが赤色に戻っていきます。

ファンの『クラブ愛』を活かした、とてつもなく斬新な献血プログラムです。

4.“募金”の代わりに“募血”を呼びかけるプリント広告

[国名:オーストラリア/団体名:Red Cross of Australia]

オーストラリア赤十字社が制作したプリント広告。献血の重要性を切々と訴える代わりに、インパクト抜群の写真(クリエイティブ)で人々の関心を惹きつけました。

透明な募金箱の中には、お金ではなく“血”が入っています。『輸血を必要としている人にとっては、血液の方がお金よりもずっと価値あるものだ』という事を表現しているようです。この作品は2006年、世界最大級の国際広告祭「カンヌライオンズ」で銅賞を受賞しました。

5.献血を呼び掛けるコロンビア赤十字の啓発広告

[国名:コロンビア/団体名:Red Cross]

人道支援団体・赤十字による、献血を呼び掛ける啓発広告です。赤い風船を血液に見立てて、『あなたの血液が輸血を必要としている患者を“死の淵”から救い出すんですよ』と示唆するクリエイティブ。

洪水で沈みかけている都市に“取り残された人”を、“献血を必要としている人”になぞらえることで、輸血を待ち望んている人の『切実さ』を強烈に訴えています。

同時に、市民一人一人のわずかな献血が“どれほど大きなインパクトをもたらすことになるのか”を直観的に示すことで、行動を喚起させることを狙っているかのようです。

6.“スマホのバッテリーを分け与える”ことができる充電ケーブル 「The Donor Cable」


[国名:ブラジル/団体名:Club SangueBom]

ブラジルの献血啓発団体「Club SangueBom」がプロモーション用に開発したユニークなスマートフォン用充電ケーブル「The Donor Cable」。フル充電されたスマホと充電が切れそうなスマホを“The Donor Cable”で繋ぐことにより、バッテリーを分け与えることができるという代物です。

“充電満タンのスマートフォン”は「献血のドナー」を、“バッテリーが切れそうなスマートフォン”は「献血を必要としている人」を想起させ、“スマホの充電と同様に献血も身近な存在に感じてもらうこと”が企画の主旨だといいます。

ケーブルには、『このケーブルを使って困っている人にバッテリーを分け与えてください』、『もし可能なら、あなたの(有り余る)パワーをそれを必要としている人に分けてください』というメッセージと、近くの献血場所の住所が明記さています。こちらの充電器は、実験的に市内のステーキレストランに設置されました。

7.無関心な若者に「献血する意義」を実感してもらうための秘策「Blood Trade」


[国名:ブラジル/団体名:Red Cross]

サンパウロの学生がブラジル赤十字に向けて考案した、若者たちに献血を呼び掛けるためのアンビエントプロモーション「Blood Trade」。
※こちらあくまでもコンセプト段階ですが、ユニークな視点を持った斬新な内容なので紹介します。

企画を考えた3名の学生たちは、若者が献血に無関心なのは、彼らが「人間にとって『血』がいかに重要なものかを十分に理解していないこと」が原因だと捉え、「その認識を変えることが献血への協力者を増やす上で不可欠だ!」と判断してこの施策を企画しました。

彼らは、若者が日常において『血』の存在を当たり前のように認識する場所である「ゲームの世界(特に戦争アクションゲーム)」に白羽の矢を立てます。※血=ライフポイントとしての認識で、当然ライフポイントがなくなるとゲームオーバーとなることは若者の誰もが理解しています。

この企画は、赤十字がゲーム会社とタッグを組んで、献血をした若者に『(戦争アクション)ゲーム内のプレイヤーのライフポイントを増加できるコード』を与えるというプログラム。献血をして、貰ったコードをゲーム内で入力すると、ライフポイントの上限が上昇するというイメージです。

自身が献血をしたことにより、ゲーム内で自分が動かすプレイヤーの血(ライフポイント)が“その分”増加して、生きながらえるという仕掛け。そしてそれは現実世界においても自分が提供した血によって、助けられる人があらわれることを暗示するという企画コンセプトになっています。

8.アメリカ赤十字による献血を呼びかける“血液バッグ型”風船

[国名:USA/団体名:Red Cross]

赤十字による市民に献血を呼びかけるためのアウトドアプロモーション。“血液バッグの形”をしたヘリウムガス入りの風船を小さな子供に持ってもらい、街中を歩いてもらうという企画です。

こちらの血液バッグ風船には大きな文字で、『毎日2,465人もの子供たちがあなたの献血を必要としています(腕まくりが必要)』と明記されていました。

日常生活において、ほほ笑ましく目に映るはずの“風船を手にしている子供”というシーンをベースにしているからこそ、そのギャップ・反動により、訴求力が高く、メッセージ性の強い表現が演出できているケースだと思いました。

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